ユニバーサル サイン
デザインの手法と実践

おわりに

 サインの有用性やユニバーサルデザインの意義については誰もが認めるところです。また、これに関する多くの研究や著述も多くみられるようになってきました。しかしながら実際のサインデザインをユニバーサルデザインの視点から実現・実践する試みはまだその緒に就いたばかりといえます。多くの研究調査の成果を完全にひとつの具体的な形にするというデザインにはまだ課題があるといえます。しかしながら一方で、従来のサインの枠や発想を超えて、新たなサインとしての可能性を導き出す環境デザインをめざしていくべきであると思います。
 本書では筆者がこれまで多くの関係者とともに取り組んできたユニバーサルデザインに関する研究成果や基本的な考え方を実現しようとして試みた実践事例の成果に立って、「ユニバーサルサイン」として展開するための手がかりや方法を提示し、紹介しました。
 しかし、必ずしも選択し、提示した事例等が最適であるということではなく、スパイラルアップの言葉通り、今後も多くの方からご意見をいただき、理論から実践、試行とフィードバックされ、改善していければと考えています。
 最後に、本書で紹介した多くの事例におけるデザインの試みの紹介には、多くの方々との協働から、ご教示いただいたこととご協力によるものが大きく、ここに厚くお礼を申し上げる次第です。なお、本書の図版原稿の整理などの編集作業について、株式会社NATS環境デザインネットワークの諸氏に多大なご協力をいただきました。また、学芸出版社の前田裕資、小丸和恵の諸氏には出版について忍耐と寛容の心で励ましていただきました。ここに厚く感謝申し上げます。