阪神・淡路大震災 復興都市計画事業・まちづくり


書 評
『地域開発』((財)日本地域開発センター)2005. 2
  阪神・淡路大震災から10年、被災地の復興は依然大きな問題である。各地で行われた区画整理、再開発、密集事業など各種任意事業は、本当にまちを再生させることができたのか。本書は、復興まちづくりで筆者が関わってきたまちづくり支援活動に関する研究を大きな柱とし、カウンタープランの作成を通じてあるべきまちづくりの方向を追求するとともに、行政・住民・専門家の関係と役割を明らかにしている。また、綿密なアンケートと追跡調査を元に各地区の復興プロセスを明らかにし、法定都市計画から、柔軟な事業へのパラダイム変換の必要性を導き出す。震災についての研究は無数にある。だが震災後のまちづくりに対し、緊急対応から復興対応に至る過程を系統的に、かつ居住、地域経済、コミュニティという人々の暮らしから総体的に、さらに都市計画の制度論と運動論という複眼的な視点から分析を行った筆者の研究成果は質的、量的にも圧倒的な存在感を示している。