『地域開発』((財)日本地域開発センター)2004. 10
中心市街地衰退の問題は、地方都市において特に深刻であり、1998年の中心市街地活性化法施行以降、多くの都市で活性化基本計画が立案されてきた。郊外化による中心市街地の人口減少、商店街の衰退などの問題は多くの人々に認識されるようになってはいるが、実際に個々の都市についての実態把握や、有効施策を展開するまでには至っていないのが現状のようだ。
本書はそのような問題を抱える地方都市の中心市街地問題を「持続的発展が可能な都市」を念頭に置くことで多元的にとらえ、その関係をきちんと整理しようとしている。まず総論として地方都市の問題について基本的かつ共通の視点を呈示し、各論として22都市の中心市街地活性化の事例を紹介している。興味深いのは地方都市在住の研究者と各都市の行政担当者が協力して執筆することによって、事例とした都市について研究者と実務者の複眼で書かれている点である。
地方都市では中心市街地問題はどのように検討され、行動を起こしているのかという実態を知ることで、自分の街の中心市街地問題解決への糸口を見出すきっかけとなる一冊であろう。
『地方自治職員研修』(公職研)2004. 4
全国で中心市街地の衰退が問題となっているが、本書で扱うのはそのうち地方都市の中心市街地問題である。地方都市は@昼間人口まで減少、A農村地域への郊外化・沿道土地利用の進展と密接な関係、B都市成立の経緯・産業基盤などの多様性から、大都市圏とは違った対策を立てる必要がある。本書は、持続的発展が可能な都市を念頭に置きながら、地方都市型の都市計画を構築し、中心市街地問題を多元的な視点で解いていこうとする。タイプの違った22都市の問題と取り組みが紹介される。
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