事例と図でわかる 建物改修・活用のための建築法規

適法化・用途変更・リノベーションの手引き


おわりに──法律の枠組みを超えていく

 この本を通して、「建物の法律」とはどのようなものか、を普段建築や法律に身近に接する機会の少ない事業者の方にも少し触れていただけたのではないかと思います。

 「建物の法律」は非常に複雑で、この本だけではすべてを語りつくすことはできません。しかし、この本を最後まで読んでいただいた方には、法律とは我々をがんじがらめに縛るためにあるものではなく、法に従ってまじめに取り組もうとする事業者にとっては、時として力強い援護射撃となることもあり得ることを分かっていただけたのではないかと思います。

 法律は世の中ができるだけ良くなるように過去の偉人たちによってつくられてきました。社会情勢の変化などで、今の時代にそぐわないものもありますが、法律のできた背景や法改正の背景を丹念に読み解き、法の趣旨を理解するように努めれば、これから新しい可能性が広がっていき、今ある法律の枠組みを超え、より良い社会をつくることができるのではないかと私たちは考えています。


 最後になりましたが、この本の執筆に際し、多くのお世話になった方々にこの場を借りてお礼を申し上げたいと思います。

 まずは学芸出版社の神谷彬大さんには、建築士向けの法解説本を書いてほしいというご依頼に対し、事業者向けの本のほうがいいという私のわがままを聞き入れ、最後には事業者の視点に立っていただいてたくさんの助言をしてくれました。神谷さんのお力がなければこの本は完成しなかったと思います。

 次に、編集についてご協力いただいたフリーランチの納見健悟さん。彼には私たちの会社のマーケティングの顧問もお願いしており、企画・構成を考える段階から私たちの会社の強みを一緒に考え、なぜ事業者の方に「建物の法律家」が必要なのかを考えるお手伝いをしていただきました。本当にありがとうございました。SKGの助川誠さんにはタイトなスケジュールにも関わらず、素晴らしい装丁をデザインしていただきました。私たちの会社のコンセプトを深く理解してデザインを考えてくれました。また、hooopの武田英志さんには非常に細かい点までレイアウトを引き締めていただきました。ありがとうございました。

 そして、今の「私」という人間を形づくっていただいた、岸和郎先生、古市徹雄先生、TYアーキテクツの山田泰二社長、英建の阿部英司社長、この本に事例の掲載を快諾していただいた事業者の皆様にもお礼を申し上げたいと思います。皆様のあたたかいまなざしがなければ今の私はありませんでした。

 そのほか、本のタイトルや内容について佐々木ののかさん、イシジマミキさん、綿村一彦さん、暁海さんご夫妻はじめ多くの方にアドバイスをいただきました。全員の皆さまのお名前をお出しすることができませんが、公私ともにお付き合いさせていただいている皆様のおかげで本書ができました。この場を借りてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

 また、図版や本の内容についての助言をくれた建築再構企画のメンバー、榮彩葉、岡野美樹。そして公私にわたって、執筆を支えてくれた妻の奈津子と子どもたち、実家に2人で過ごす両親にもお礼を言いたいと思います。いつも新鮮な驚きをありがとう。これからもよろしく。

2018年8月
佐久間悠