外国人居住と変貌する街

【コラム/扉の向こう側】

“外国人がターゲット”
らしき不動産屋

 新築RC造マンションのオートロックの玄関を覗くと、 中国語やハングルでゴミ出しなど住まい方の注意事項がべたべたと貼られている。 もう一度外観を見上げると、 外壁には小さな出窓が鈴なり。 建物の内部には小さな中庭がとられ、 それを囲むドアの列が四階まで連なっていた。 この建物は、 一住戸の間口がほぼ一間という究極のワンルームマンションなのである。 そして居住者はほとんどが外国人のようす。 隣近所の人なんて会わないし知らないよ、 と一階の共用コインランドリーで洗濯をする留学生、 電話一本で結婚紹介所をやっているんだ、 という中国人男性、 就学生だけど学校遠いしね、 アルバイトのお店ではママにたよりにされているのよ、 という美人の中国人女性…。

 居住者の一人に聞き、 管理している不動産屋を訪ねてみた。 ペンシルビルの六階にあり飛び込みの客が来そうな場所ではないのだが、 狭いエレベーターからは次から次へと外国人客がはきだされてくる。 責任者の中年男性は一応対応してくれたものの、 「特に外人専門にどうのということはしてないよ。 ほかの不動産屋がここに連れてくるんだよ。 うちは大家から預かった物件の管理の代行をしていて、 外人は身分証明書とパスポートをちゃんとチェックする。 中南米は犯罪がからむから断ってる。 もういいでしょう?」とのこと。 しかし、 話を聞いている間も相変わらずアジアやラテンアメリカの外国人客が途切れることはなく、 私たちは「?」を抱きつつ去らざるを得なかったのである。


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