阪神大震災復興市民まちづくり
vol 4

概説('95. 11〜96. 1)


はじめに

 「復興市民まちづくり」もvol. 1(黄)9502〜04、vol. 2(緑)9505〜07、vol. 3(紫)9508〜10、と3カ月ごとの市民まちづくりニュースを収録して、vol. 4(赤)9511〜9601で1年になります。vol. 1の18種175頁からvol. 4では61種349頁分(実質665頁分。vol. 3よりニュースの急激な増加に対応するため、ほとんどの紙面を縮小してA4判に2頁分を収録するようになった)まで、ほぼ2倍(実質約4倍)となりました。1冊の本とするにはこれが限界です。あと1年、vol. 8までは、なんとしても続けて発行するつもりですが、市民まちづくりの(入手できた)すべてのニュースを収録できなくなるかも知れません。また、vol. 4で兵庫区松本地区、長田区鷹取東地区等の「まちづくり提案」(その他、地区ニュースの中にたくさん紹介されています)を収録していますが、そうした市民の手による提案ももっと広く皆さんに知ってもらい、読んでもらいたいと思っています。

 急激な日常化に伴って、さまざまな困難が押し寄せてきています。「復興市民まちづくり」の発行に伴う経費的切迫も厳しいものがあります。定期購読・販売促進など、あと1年のご愛顧・ご協力を切にお願いします。

'95.11〜'96.1期に発行されたニュースの特徴

 「はじめに」でも紹介しましたが、今回もニュースの量は増加しています。vol. 3の58種287頁から比べると、3種62頁の増加です。新しく収録したニュースが19種で、うち13種が区画整理区域内のニュース、残りが“白地区域”等で新たに結成されたまちづくり協議会のニュースとなっています。また、前回掲載したニュースで今回掲載していない(この期に発行されてない、音信不通等の理由による)ものは19種、この逆にvol. 1、vol. 2で掲載しており今期に再び掲載したものは3種となっています。vol. 1〜4のトータルで述べ85種のニュースを収録したことになります。

 また、今期の特徴としては「まちづくり提案書」の収録に見られるように、区画整理や再開発の区域でのまちづくり案の検討、提示等の活動が活発になっていることがあげられます。今回収録した地元ニュース52種のうち39種が区画整理、再開発等の都市計画事業区域のニュースで、これらのニュースの多くががまちづくり案を掲載しています。一方、“白地区域”等では、いくつかのまちづくり協議会の結成や地区計画によるまちづくりといった取り組みが見られますが、全般的に復興まちづくりの動きが都市計画事業区域に比べ相当鈍く、金も人も少ない自力復興の困難さを示しています。

各ニュースの概要

●ネットワークニュース

 「きんもくせい」は、19号から23号までの5号分を掲載。震災から1年目を迎えつつあるなかで、“白地区域”でのまちづくり協議会結成の動きや、震災被害や復興状況調査の報告、コレクティブハウジングの提案、復興まちづくりのあり方についての意見などを掲載しています。

 「明日の西宮」は、7〜8号を掲載。5号から始まった各地区ごとの復興調査や、ネットワークメンバーの支援のもとに結成された“白地区域”のまちづくり協議会等について掲載しています。

 「AAN NEWS」は、13〜16号を掲載。ネットワークメンバーらによる勉強会のレポートや復興についての意見などについて掲載しています。

 「りんりん」は、3〜4号を掲載。市外、県外に避難している被災者の生の声や、被災者に役立つ情報などを主に掲載しています。

●地元協議会ニュース、まちづくり提案

1. 神戸市東部市街地(東灘区・灘区)

 「まちづくりニュース」は、森南町・本山中町まちづくり協議会の発行で、5〜6号を掲載。区画整理区域に指定され、住民と神戸市との協議の経過等を紹介しています。

 「深江地区まちづくりニュース」は、11号を掲載(前回はvol. 2に10号を掲載)。震災前から協議会で検討し、今回神戸市と締結した「深江地区まちづくり協定」について紹介しています。

 「六甲1」「六甲町2」「あらくさ」(六甲町3丁目)、「六甲町4・5」「稗原町2・3・4」「森後町3丁目」「永手5」の各まちづくりニュースは、区画整理区域に指定された六甲道駅北地区の協議会が発行するもので、この間検討している復興まちづくり案やアンケート結果について報告しています。この間、森後町3丁目、永手町5丁目で新たにニュースが創刊されています。「いしずえ」(琵琶町)を発行している六甲道駅西地区では、住民のまちづくり提案がまとまり、市の区画整理の事業計画案が示されています。

 「深田4南」「深備5」「桜備4」「さくら5」の各協議会ニュースは、第2種の市街地再開発事業区域に指定された六甲道駅南地区の協議会が発行しているもので、まちづくりアンケートの結果報告やまちづくり案に対する住民の意見等を掲載しています。

 「復興まちづくりニュース」は、上記の市街地再開発事業区域に接するエリアで今回結成された桜口・備後3丁目まちづくり協議会が発行するニュースで、協議会結成の経過やまちづくりアンケート結果等を掲載しています。

 「灘中央地区まちづくり協議会ニュース」は、“白地区域”で今回結成された協議会の発行で、活動方針やまちづくり構想案について掲載しています。

2. 神戸市中部市街地(中央区)

 「中四復興新聞」「中三まちづくり新聞」は、それぞれ中山手3丁目及び4丁目地区のニュースで、後者は今回新たに発行されたものです。これまで活動経過やアンケート結果を掲載しています。

 「みなと元町タウンニュース」は、第52号を掲載。震災前から活動している協議会の発行で、まちづくり構想案などについて紹介しています。

3. 神戸市西部市街地(兵庫区・長田区・須磨区)

 「復興」は、5号を掲載(前回はvol. 2に掲載)。共同再建が活発化していることやアートビレッジセンター、ボート問題等の動きについて紹介しています。

 「松本地区まちづくり協議会ニュース」は、3号を掲載。区画整理区域に指定された地区で、住民のまちづくり提案を総会で採択したことについて知らせています。また、併せて「松本地区まちづくり提案 その1(案)」を本書に掲載しています。

 「真野っこガンバレ!」は、住民主体のまちづくりで全国的に有名な真野地区のニュース(週刊)で、36〜48号を掲載。地区内での共同再建の取り組み状況、移転者調査の中間集計、真野地区での様々な出来事等を伝えています。

 「Weekly Needs」(ダイジェスト版)は、vol. 2の8〜13まで掲載(隔週刊)。長田区の被災者に役立つきめ細かな情報提供を行っています。

 「ひまわり」は、大道周辺地区のニュースで10〜12号を掲載。街区共同化エリアでのまちづくり協議会の発足や、震災後1年間の活動記録等を掲載しています。

 「川西・大道(南)四丁目」「川西通5丁目・大道通5丁目」「水二」「水笠通3丁目」「御屋敷通1丁目」「御屋敷通2丁目」「神楽町5・6丁目」「松一」の各まちづくりニュースは、区画整理区域に指定された新長田駅北地区(五位池線以東)の協議会が発行するもので、区画整理のQ+A、まちづくりプランの概要、共同建替の説明、アンケート調査結果、会合での住民意見等を掲載しています。水笠通3丁目では、まちづくり提案を掲載しています。なお、今回はニュースのページ数が相当量になったため共通する部分を割愛しています。

 「水四」「水5」「水笠6丁目」「御屋敷通4丁目」「御屋敷通5丁目」「松野通3丁目」「松野通4丁目」(以上新長田駅北地区―五位池線以西)、「戸崎通3丁目」「千歳町4丁目・常盤町4丁目」「大田町1丁目」(以上鷹取東地区―JR線以北)の各まちづくりニュースは、区画整理区域における協議会が発行するもので、住民アンケート結果の報告、まちづくりイメージ提案、共同建替え等の勉強会、まちづくり提案等について伝えています。水笠通4丁目、同5丁目、御屋敷通1丁目のまちづくりニュースでは、「まちづくり提案」を紹介しています。

 「ひこばえ」「すいせん」は、御菅地区の協議会が発行するニュースで、アンケート調査の概要やまちづくり提案に向けた将来像(案)等を掲載しています。

 「がんばれ!たかとりひがし まちづくりニュース」は、最も早く区画整理の事業計画が決定された鷹取東地区(JR線以南)の協議会が発行するニュースで、事業計画案や市との確認書の内容を掲載しています。また、当地区及び野田北部地区を対象とした地区計画案も掲載しています。

 「長田区野田北部復興フロンティアーまちつくり通信」は、早稲田大学佐藤研究室が中心となって発行しており、4〜5号を掲載。アンケート調査、聞き取り調査の詳細な結果報告を行っています。

 「久二塚6まちづくりニュース」は、第2種の市街地再開発事業区域に指定された新長田駅南地区の協議会ニュースで、3〜4号を掲載。専門部会別の検討内容や決定したまちづくり計画案を紹介しています。

 「西須磨まちづくり」は、vol. 1に4号まで掲載していますが、今回続いて5〜13号を収録しています。地区内に多くの都市計画道路が計画されているエリアであり、道路計画をめぐる意見やこの間のまちづくり会議・懇談会の取り組み等を詳しく伝えています。

4. 西宮市

 「我がまち安井まちづくりニュース」は、“白地区域”で発足した安井地区の協議会が創刊。発会式で決まった内容や、まち・すまいづくりの諸制度を紹介しています。

 「すまいまち」は、区画整理区域である西宮北口駅北東地区の北口・高木まちづくり協議会が発行するニュースで、1〜8号を掲載。協議会の結成からアンケートの実施、まちづくりの基本目標(案)など、協議会の活動内容を紹介しています。

5. 芦屋市

 「緑通信」は、震災前から活動している東芦屋まちづくりを考える会が震災後始めて発行するニュースで、5〜6号を掲載。震災前から検討していたまちづくり構想(案)について掲載しています。

 「広報わかみや」は、住宅地区改良事業区域に指定されたエリアの若宮地区まちづくり協議会が発行するニュースで、1〜4号を掲載。協議会の活動経過やアンケート調査結果について掲載しています。

●行政ニュース、その他

 「新長田駅南地区まちづくりニュース」は、神戸市が発行するもので3号を掲載。再開発地区全体のまちづくり基本方針―まちづくりのテーマや土地利用構想など―を掲載しています。

 「六甲道駅西のまちづくり」は、震災復興土地区画整理事業区域の地元協議会のまちづくり提案を受け、神戸市が行う2段階目の都市計画決定や事業計画案の内容について知らせています。

 「松本地区のまちづくり」も六甲道駅西地区と同じく、2段階目の都市計画決定や事業計画案の内容について知らせています。

 「鷹取東のまちづくり」は、2号を掲載。震災復興の区画整理区域最初の事業計画決定を受け、今後のまちづくりの進め方―仮換地指定に向けたスケジュール―について知らせています。

 「復興かわらばん」は、被災者復興支援会議の発行するニュースで3〜5号を掲載。同会議の県外での活動、第3・4回の提案、仮設住宅の自治会づくり等について掲載しています。

 「RECONSTRUCTION FUND BY DEMOCRATIC ECONOMY」は、兵庫区松本地区を中心とした激甚災害復興基金設立準備会が作成したパンフレットで、激甚災害に対する新たなシステムの必要性を提案しています。


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