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都市計画法を読みこなすコツ




はじめに



 都市に住む人びと又は都市で働く人びとにとって、都市計画法はその都市の未来の姿を示すものとして大きな興味があることでしょう。その都市計画の根拠となるのが都市計画法です。
 都市計画法で定める都市計画の主なものには、次のようなものがあります。
(1)市街化区域・市街化調整区域(規制)
 都市計画区域を区分して市街化調整区域内での市街化を抑制し、市街化区域内での都市整備又は計画的な市街化を図ります。
(2)地域・地区(規制)
 主として市街化区域内において地域・地区を指定し、土地利用の純化等を図ります。
(3)都市施設(事業)
 都市内に道路・講演・下水道のような公共施設や、学校・病院・文化センター等の公益的施設の位置を決定し、それを事業化することによって都市施設を建設します。
(4)市街地開発事業(事業)
 市街地内の再開発や郊外でのニュータウンづくりや土地区画整理等の事業を行って、一定の区域内の総合的整備を行います。
 その他にも、都市計画を進めやすくするための促進区域、予定区域又は今回の大震災を契機として設けられた被災市街地復興推進地域などの都市計画も存在します。
 しかし、このような都市計画は、都市の骨格を定める重要なものであるけれども、住民にとっては自分達の住む街の環境改善には結びつきにくいものです。したがって、ややもれば無関心なものとなりがちです。
 ところが、近頃は住民の間で生活環境に対する関心が高まりを見せ始め、都市計画にも地区計画等がとりいれられました。これは、これまでのような都市の骨格づくりではなく、それぞれの地区毎に地区の特色を生かした計画づくりをするもので、強い規制や事業ではなく、住民の間でまとめたコンセンサスに基づいて街づくりを誘導して行くものです。
 そのような地区計画づくりが全国各地で始まっており、そのために住民による都市計画への関心が盛りあがってきています。都市計画が住民にとって身近なものとなり、しかも、活き活きとした計画づくりができるようになったのです。都市計画から都市設計ヘの進展です。
 そのような時期に当るため、都市計画法をできるだけ都市に住む人の立場に立って説明してみることとしました。この書を通じて都市計画に対する理解と関心が高まり、身近な生活環境改善の一助になれば幸いです。
  1995年秋
高木任之



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