建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)は,特定建築物の環境衛生上の維持管理に関する業務を全般的に監督するという,きわめて幅広い分野で活動しなければならない,いわばビル管理業務の現場監督という立場です.
ビル管理士の資格を取得するには原則として,合格率12〜17%の国家試験に合格しなければなりません.
ところが“不合格” という屈辱を味わった人の多くが,建築物衛生行政概論の科目中の法令関係で十分得点できなかった人が意外と多いのが現実です.
法令関係で十分得点できないのはなぜなのでしょうか? その主な理由はつぎの二点にあります.
@ビル管理という職務上,勉強しなければならない関係法令の数がきわめて多いことです.ちなみにその数を示すと次のとおりです.
1.ビル管理法 2.建築基準法 3.学校教育法 4.地域保健法 5.水道法 6.下水道法 7.建築士法 8.技術士法 9.高圧ガス保安法 10.電気事業法 11.臨床検査技師,衛生検査技師等に関する法律 12.労働基準法 13.労働安全衛生法 14.医師法 15.浄化槽法 16.水質汚濁防止法 17.湖沼水質保安特別措置法 18.大気汚染防止法 19.廃棄物の処理及び清掃に関する法律 20.容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律 21.伝染病予防法 22.興行場法 23.大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律 24.図書館法 25.博物館法 26.旅館業法 27.毒物及び劇物取締法 28.職業能力開発促進法 29.労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律 30.地方自治法 31.建物の区分所有等に関する法律 32.高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律 33.警備業法 34.消防法 35.有害物を含有する家庭用品の規制に関する法律
すなわち,関係法律は35を数え,そしてこれにはそれぞれ施行令,施行規則があるわけです.
A一つの法令用語名がいくつもの法律(施行令・施行規則)で用いられ,それぞれ同一用語でもその定義・条文等が異なります.
ほんとうに大変ですよね! “法令集” では,法令上の各用語,術語,記述文などが,どの法令の第何条に示されているかというのが,極めて把握しにくい,というよりほぼ不可能なのです.
法令科目に合格するには“法令集” のみではなく,各用語や術語などが具体的に何れの法令の第何条に示されているかを見極めることが大きなポイントとなるのです.
こういった見地から,法令各用語(約840語)などが具体的にどの法令の第何条で示されているかを把握しやすくするために,本書を編纂した次第であります.
本書が斯界でのご活躍の栄冠を獲得されるステップとなれば,編者として望外の喜びとするところであります. 中井多喜雄
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