建築の設計をする者にとって、その建物自体が吉相であるのか凶相であるのかは、平面計画やデザインの優位性だけに止まらず、近年無関心ではいられなくなってきている。本書では中国に伝わる古典風水に基づき、設計者の立場でどんなことに注意をして計画をすればよいのかを解説した。
その特徴は、従来の家相書と異なり、二十四山と呼ぶ方位と、易に由来する方位の分類方法である六十四卦を使い建物や運勢を判断することにあり、この方法は風水学が盛んな香港などでも主流となっている。この各方位の意味は巻末にまとめたので、早見表として活用してもらえると思う。
本書の作成にあたっては、中国の古典風水を研究していく過程のなかで出会った文献や先人の知恵を、自らの考えによってわかりやすく整理し直したものに、筆者なりの思いを加えて構成、解説をしている。特にビジュアルインデックスは、初めての方でも興味をもって見ていただけるものになったと思う。
我々日本人の文化的ルーツの一つである大陸の歴史に興味は尽きないが、今後も中国の古典や伝承を研究することでさらに多くの発見があるのではないかと期待している。
最後に、今回、内容に関してご指導いただいた陳希夷氏、伊集院璃砂氏、林國雄氏、出版にあたって多大なご協力ご支援をいただいたコラムデザインセンター宮後浩氏、学芸出版社吉田隆氏と中木保代氏、イラストを作成していただいた播磨典子氏に深く感謝の意を表したい。
平成16年9月
二瀧雅子
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