若い世代の責任を痛感

鈴木伸一

 調査のきっかけのひとつに、たまたま私の親戚が調査の対象になる家に住んでいたことがありました。その人たちは『近代建築総覧』に載っているとは全く知らなかったのですが、たまたま食事をしにいった時に、「こういうのに載っているんだよ」と話をしたところ、すごく喜んでいらっしゃいました。そして地図と本を見比べて、「あそこの家もそうか」「木がうっそうと繁っているあの家が載っているんだ」とワイワイやりだしたのです。
 そういう話を聞いているうちに、歴史的な建物が文京区の一つの風景をつくっているのだと実感しました。私はまだ駆け出しですが、都市計画の人間としても、そういう風景が残るような仕組みを、この先特に若い世代の人間が考えなければいけないと強く思いました。
 三船 どうもありがとうございました。
 昨年の秋にこの会で文化庁の方と登録文化財の講演をしたときに、区民の方が結構来ておられました。「自分も登録文化財がどういうものなのか良く知りたい」ということです。
 そこで感じたのは、登録したいと思っておられる方の気持ちを何らかの形で繋げてあげる。そういうことをやれば登録文化財が増えていくということです。
 次に、西村先生に東大の件を詳しくお聞かせいただきたいのですが。
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