西村幸夫先生(東京大学教授)講演会が
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日本各地のまちづくりに精通されている西村先生ならではの、 たくさんの実例がOHPやスライドによって紹介されながら、 歴史を活かしたまちづくりの略史や近年の動きなどについて、 わかりやすくお話がありました。 特に京都府の舞鶴の赤煉瓦を活かしたまちづくりの物語は、 参加者に勇気を与えるものでした。
この調査は「新版日本近代建築総覧」にリストアップされた223件の近代建築の現況を把握するために行なわれました。 結果はセミナーにおいて、 鈴木伸治氏(東京大学助手)、 田中利幸氏(東京大学大学院)、 蓑田ひろ子氏(エコプラン)の3人によて発表されました。 以下は発表の内容をまとめたものです。
用途 残存 消失 消失率 住居系 30 33 52% 商業系 4 10 71% 宗教系 7 4 36% 業務系 13 35 75% 文教系 51 30 37% その他 2 4 67%
知っている 5件(18.5%) 知らない 21件(77.5%) 無回答 1件( 3.7%)
価値があると思う 9件(33.3%) 思わない 8件(29.6%) どちらともいえない 8件(29.6%) 無回答 2件( 7.4%)
なお、 本調査は1998年9月に行われた日本建築学会大会において発表されました。 「文京区の近代建築の残存状況とその保存・建て替えに関する考察(その1〜3)」日本建築学会学術講演梗概集F1pp.579-584
3回目となった今回は、 平成10年10月の答申で登録文化財となった文京区西片にある金澤家住宅にて行われました。 東京芸術大学教授の前野まさる氏と文化庁建造物課の堀勇良氏をゲストに招き、 建物の保存や登録文化財の登録状況等についてお話をうかがいました。
現在お住まいの金澤正剛氏の父であり、 東京芸術大学の助教授を務めらた金澤庸治氏の若き日の設計による作品です。 庸治氏の作品には、 他に東京芸術大学の正木記念館などがあります。
「雷門の蔵を守る会」では今後もさらに調査を進めていく予定です。
土蔵は、間口2間奥行き2間半の2階建てで、小ぶりですがたいへん堅牢な造りで、関東大震災、東京大空襲にも耐えてきました。
2階の梁下の墨書名より、慶応四年(1868年)、明治維新直前・江戸末期に建てられたものであることがわかりました。
蔵は、当時材木問屋の「竹屋」で使われており、京間造りとなっています。江戸の建物で京間を使用するのは、武家屋敷でも上流階級であり、町人で使用するのはかなりの資産家か数奇人といわれており、竹屋の当時の隆盛ぶりが伺えます。
現在は、オーナーを始めこの蔵を愛する人々の手で再生され、ギャラリーとして新たによみがえりました。床は漆塗りで仕上げられ、絵画の展示、コンサート、民俗舞踊などの催しに活用されています。
催しの内容により様々な使われ方をされ、多種多様な人々が蔵に出入りします。それらを全て受け入れ包み込んでくれる蔵。その空間から包容力とやさしさが伝わってきます。
平成10年10月に登録文化財として答申されました。
(報告:蓑田ひろ子)
「Garalley ef(ギャラリーエフ)」DATA
住 所:台東区雷門2-19-18
なお、 上記の本はタイトルも「歩いてみたい東京の坂 上・下」に決定し、 上巻は12月下旬、 下巻は来年1月下旬に発売いたします。 定価2800円。 当会会員の方は送料込みにて割引致します。
2。 文京区の近代建築についての発表
セミナーの初めに、 文京区の近代建築の調査の報告が、 鈴木伸治氏(東京大学助手)、 田中利幸氏(東京大学大学院)、 蓑田ひろ子氏(エコプラン)の3人によって行われました(内容については次頁に特集しています。 )3。 西村幸夫先生の講演
講演会には西村幸夫先生(東京大学教授)を招き、 専門である都市計画の立場から「歴史を活かしたまちづくり」をテーマに講演が行われました。4。 パネルディスカッション
パネルディスカッションでは西村先生に加え大河直躬先生(千葉大学名誉教授)、 鈴木伸治氏、 三船康道氏(エコプラン)が参加して行われました。 話題の中心は東大本郷キャンパスの再開発や、 丸の内の再開発についてでした。 西村先生からは双方の現状について説明があり、 保存と開発の難しさがあらためで認識されました。5。 みんな揃って記念撮影!
パネルディスカッション終了後には、 前回より始まり恒例となりつつある記念撮影が西村先生を囲んで行われました。
特集! 文京区の近代建築
文京区には関東大震災や戦災をくぐり抜けてきた数多くの建物が残っています。 日本建築学会の編集によって1980年に出版された「新版日本近代建築総覧」の中には文京区の近代建築が223件もリストアップされています。 しかし近年の社会変化などにより、 それらの建物もここ20年前後の間に大きく変化してきていると感じられます。
近代建築の残存状況について
(1)近代建築の残存状況
「総覧」にリストアップされた近代建築のうち残存数は107件(48%)、 消失数は116件(52%)でした。(2)地区別の残存状況
文京区内を6つに地区に分類して、 各地区の残存状況をみると、 東京大学が残存数全体の32%と最も高く、 本駒込・千駄木が5%と少なくなっています。
い:本駒込 ろ:弥生、 根津、 西片 は:本郷、 湯島
に:千石・白石・小石川 ほ:大塚・小日向・音羽・目白台
へ:東大
(3)用途別の残存・消失状況
用途別では文教系の建物の消失率が37%と低く、 反対に業務系や商業系の建物の7割以上が消失しています。
(4)構造別の残存状況
構造別では鉄筋コンクリート造(RC造)の建物が残存数全体の55%と半数以上を占めています。 次いで、 木造が37%となっています。
残存する近代建築の所有者の意識について
(1)総覧のリストアップの認識について
「総覧にリストアップされているのを知っていますか」という問いに対して、 「知っている」と答えた所有者は18.5%でした。
(2)所有する建築物の価値について
「所有する近代建築に価値があると思いますか」という問いに対しては「あると思う」と答えた所有者は33.3%、 「思わない」と答えた所有者は29.6%でした。
3回目の歴史的建造物所有者の会が
行なわれました1。 歴史的建造物所有者の会
平成10年11月29日(日)に「歴史的建造物所有者の会」の集まりがありました。2。 金澤家住宅とは
会場となった金澤家住宅は、 文京区西片の閑静な住宅街にあり、 大きな三角屋根のアトリエが目を引く建物です。 昭和5年に建設され、 2階建ての和風住宅とアトリエである洋館で構成されています。
「雷門の蔵を守る会」が蔵の調査を実施
1。 雷門には蔵が10棟
台東区浅草の「雷門の蔵を守る会」では、 11月3日(火)に浅草雷門界隈に点在する「蔵」の調査を行いました。 その結果、 浅草には雷門だけでも10棟の蔵が残っていることがわかりました。 使われ方も様々で倉庫や住宅として利用しているものや、 ギャラリーとして公開されているものもあります。 また、 木造の蔵だけでなく昭和初期に建てられた鉄筋コンクリート造の蔵も見つかりました。浅草にもまだまだ、たくさんの蔵が残っている
Garalley ef (ギャラリー・エフ)
−雷門のお洒落なアートスペース− <連載企画>みんなのたてもの・まちなみ
Garalley efは、アンティークショップ、ギャラリーを兼ねたカフェレストランで、江戸通りに面しています。通りに面した建物は、現代的な造りのカフェレストラン(二階がアンティークショップ)で、その奥が土蔵を活用したギャラリーになっています。
その1
建築年:1868年 慶応四年(明治元年)
構造等:木造2階建て(土蔵造り)切妻瓦葺き
営 業:11:00-24:00(garalley -19:00)火曜休
TEL:03-3841-0114 FAX:03-3841-9079
歴史文化のまちづくり研究会
お知らせコーナー「歩いてみたい東京の坂」発売延期のお詫び
「(仮)東京の坂歩き」は都合により出版が遅れてしまいました。 深くお詫び申し上げます。藤島亥治郎先生100歳誕生記念パーティー
99年の5月1日に、 藤島亥治郎先生は満100歳を迎えられます。 それを祝して、 誕生日当日にはパーティーが開かれます。「みんなのたてもの・まちなみ」投稿募集!
今回より始まりました「<連載企画>みんなのたてもの・まちなみ」では、 地域の人達から親しまれ、 活用されている歴史のある建物や、 お気に入りの町並みなど、 歴史的な建物や町並みに関する記事を皆様から募集しています。 是非ご紹介下さい。「歴史・文化のまちづくり研究会」では
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