ひとつ石・定例会報告 『町家再生の技と知恵』の読み方の巻 (2002.5.1 THU) 報告・文=知念靖広/イラスト=野村 彰 |
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記念すべき第1回定例会が、5月1日(水)に学芸出版社3Fホールにて行われました。京町家作事組(京町家改修のために立ち上がった建築の職人集団)が2年のヒアリングとディスカッションを経て編集された『町家再生の技と知恵』がこの度発刊されることになりましたが、今回は、その本の「読み方」(と裏話)を編集に携わった方に講義いただきました。 本の執筆は、主に、京町家作事組・理事長の梶山秀一郎氏です。梶山氏の思いのたけが語られており、氏のアツイ想いが伝わってきます。ちなみに余談ですが、大龍堂が配信しているメールマガジン「TRD通信」というのがありますが、そこでの本書の評は、「梶山秀一郎ワールド」であるということです。言い得て妙、というか……。 今回は、その読み方、苦労話、町家の面白さ、職人さんの話の奥深さなどを、矢ヶ崎先生(京都工芸繊維大学)よりご発表いただきました。『町家再生』の本の第2章のページに沿って、OHPを使い、ご講義いただきましたが、同研究室の学生数名が参加されていることもあり、さながら矢ヶ崎先生の授業を受けているような感じであったと思います。 先生は町家の専門家ではないとのことで、やるたびに新しい発見があったようです。ちなみに当会のメーリングリストの「rendai」というのは、本書のヒアリング・編集の段階で再認識するに至ったもので、町家の建方の最初の段階の自立構造を「蓮台」というそうです。仏像の蓮台、川渡しの蓮台に形が似ているところからきたのでしょう。町家のコアともいうべき躯体部分です。 |
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恒例となった「ふたつ石」(われわれは二次会をこう称します)は、場所を4階の「游雲亭」に移し、本書第2章のイラストを担当した野村彰さん(京都府職員)に発表をお願いしました。「ボツイラストに学ぶ京町家」として、氏の描かれたイラストを数点、皆に配り、なぜ本に採用されなかったのか、どこがどう間違っているのかをあててもらうというクイズ形式のものにしてくださいました。これはとても面白く、ひとつ石の講義でもヒントが出ていたにも関わらず、なかなかわからなかったようです。これはイラストを描かれる際のご苦労が身にしみてよくわかります。大変でしたでしょうねぇ。 ちなみに今回の「ひとつ石通信」の挿絵も野村氏によるものです。当会発起人にもかかわらず、欠席ということでケシカランので、イラストでの参加をお願いしました。 |
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