にぎわいを呼ぶ

イタリアのまちづくり


歴史的景観の再生と商業政策



contents

1章 都心を活かすまちづくり イタリア都市計画の30年

1・1 イタリアのまちづくりへのまなざし
1・2 イタリア都市計画の戦後
1・3 中心市街地衰退の問題、都市商業再生のシナリオ
1・4 都市行政の地方分権化という改革
1・5 市民参加の推進
1・6 広がりゆくイタリアのまちづくり―農村景観の保存と再生

2章 都市の個性を活かす 都市計画制度はどう整えられたか

2・1 ファシズム期の都市計画法と革新勢力による公営住宅用地取得法
2・2 〈橋渡し法〉による都市計画法改正とその内容
    自治体に課せられた問題/計画なければ開発なし
2・3 歴史的都心部での建築行為の規制
2・4 ブカロッシ法による建築許可の強化
    計画以上の規制、建築許可/ブカロッシ法による更なる強化/建築許可と負担金による土地利用のコントロール
2・5 建築不自由の都市計画制度の問題点と評価
2・6 国土計画と景観計画、1985年〈ガラッソ法〉
2・7 イタリアの都市計画制度とまちづくりの矛盾

3章 建物を美しく、都市を魅力的に 保存修復計画とその経済効果

3・1 建造物から歴史的都心部全体の保存へ
3・2 歴史的都心部保存から、都市の建築遺産の有効活用へ
3・3 建築修復から歴史的都市と歴史的地域の再生、再評価へ
3・4 建築保存の経済的規模
3・5 都心住宅の保存技術の普及と革新
3・6 商業建築の保存技術の開発と普及
3・7 都市再生と建築保存

4章 歴史的建造物を活かす 文化財保護と建築修復技術の発展

4・1 ヨーロッパの歴史的建造物へのまなざし「「保存か活用か
    保存修復の起源/外国人による再評価/ローマ教会による保存
4・2 イタリアの歴史的建造物保存の起源
4・3 文化財保護法による文化財の定義と建造物の修復
    マリア・テレジアによる文化財持出禁令/文化財における「公共」という概念/文化財に対する価値判断
4・4 歴史的環境保全のための法律「「文化財保護から歴史的景観・環境への広がり
    都市の歴史的環境保全/市民に選択された歴史的都心部
4・5 都市の景観、修景計画から地域の景観計画へ
4・6 建築物の『修復マニュアル』に示された建築修復の広い考え方     伝統技術の継承/伝統技術と建築教育の乖離/大都市の建物の老朽化/ローマ市『修復マニュアル』の意義とその内容

5章 街中の暮らしを楽しむ 都市居住はどう回復したのか

5・1 都心部の衰退と住宅問題
5・2 大規模再開発によらない都市の再生、都心の活性化
    都心空洞化の進行/4段階の改修工事/修復コスト対効果の差異/オフィス需要の変化
5・3 都心への回帰「「ジェントリフィケーション
    修復工事とジェントリフィケーション/ベンチャー企業の進出
5・4 住民階層の変化にみるイタリアン・ジェントリフィケーションの特質
    都市住民の階層上昇/職人企業組合の発展
5・5 イタリアン・ジェントリフィケーションを支えた零細商工業の変化
    拠点の移動/都心再活性化をささえた階層/市場原理によってもたらされた再活性化

6章 町並みの魅力を演出する 都市デザインの仕組みと都心再生

6・1 歴史的都心部屋外広告物に関する条例
6・2 ローマ市歴史的都心部広告物条例、特別規定の手法と効果
    歴史的都心部内での段階的規制/規制広告物の範囲と定義規定/歴史的都心部広告物特別規定の運用と問題点/デザイン条例への市民参加の規定
6・3 歴史的都心部の変遷、中心市街地の形成と都心商業の変化
6・4 歴史的都心部景観条例の発展
6・5 歴史的都市にふさわしい景観デザイン規制手法の確立
    統一と調和のデザイン/70年条例のもたらしたもの

7章 ブティック街の誕生と出店規制 中心市街地のための商業計画とその運用

7・1 都心小売商業再生に歴史的景観保存が果たした役割
7・2 ヨーロッパの都心商業の衰退と対策の推移
    モータリゼーションの進行/ヨーロッパ各国の小売商業政策とイタリア/中心市街地活性化と小売商業政策/大規模店に対抗するサービス業の力
7・3 イタリアの都心商業政策
    自治体にゆだねられた商業計画/特定業種の集積誘導/小売業保護から育成へ
7・4 中心市街地を活性化する手法と組織
    ローマ市の試み/疲弊した都心を都市型観光拠点に/フィレンツェの戦略/市による観光産業コントロール/歩行者空間の整備/レッジョ・エミーリア市の取り組み/自動車の締出しと魅力的な空間づくり/競争力が生みだす活力
7・5 歴史的市街地を活かした活性化
    地方分権化によるパートナーシップの発現/都心周辺部の抱える課題

8章 都市型産業の展開 職人企業が都心活性化に果たした役割

8・1 職人企業の構造と特色
8・2 イタリアの中小企業の特色
8・3 新しい流れ「「都市型産業としてのサービス部門の職人企業
    時代にあわない大規模小売店/イタリア人のブティック志向/消費者の感覚に応える職人企業
8・4 サービス業を支える歴史的都心部
8・5 自治体の産業政策と職人企業
    コモ市の成功/都心のメリット
8・6 消費者を育てる脱工業化時代の文化政策
8・7 文化とサービス業を支える盛り場づくり

9章 歴史文化に遊ぶ 変わりゆく歴史都市の観光政策

9・1 新しい観光形態としての都市型観光とその制御
    都市型観光と田園観光/観光制御
9・2 都市型観光の振興をめざす都市政策
9・3 近年の観光客と観光行動の変化
9・4 オルターナティブ・ツーリズムとヘリテージ・ツーリズム
9・5 フィレンツェ市の都市型観光政策「「施設の有効利用のために
    モニタリングの意味するもの/観光コントロールの必要性
9・6 ヴェネツィア市の場合「「沈みゆく水上都市の入場制限
    急増した観光客と、EXPO 2000立候補の中止/祝祭観光の隆盛と中心部の人口減少/危険度の高い資源をもつ都市の観光制御
9・7 イタリアの今後の都市型観光政策

10章 地方分権がまちづくりに与えた効果 コムーネと市民の役割

10・1 コムーネの歴史的側面「「現代のコムーネが受け継いでいるもの
10・2 現行憲法におけるコムーネの曖昧な位置づけとその問題点
10・3 コムーネの機構、権限と役割
10・4 コムーネ行政の分権・参加制度
    赤い都市ボローニャ/高度福祉社会を見据えた分権化の進行/地区議会議員の果たす役割/サン・レオナルド市民センターの再生活用/サン・ヴィターレ地区議会の構成と実状/地区議会の抱える課題
10・5 住民の変質と参加意識の変化
10・6 首都ローマとローマ市行政
    ローマ市政の仕組み/地区議会の根幹としての旧区
10・7 地方分権のゆくえとまちづくり

11章 イタリアのまちづくりの思想 一人ひとりを大切にする暮らしの知恵

11・1 イタリアブームの背景に
11・2 保全的開発政策の都心再生メカニズム
11・3 都市再生のメカニズムをささえる合意形成


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