人と街を大切にする

ドイツのまちづくり

推薦文


ドイツの都市計画の現場が見えてくる

慶應義塾大学教授 日端康雄

 ドイツの都市計画制度は世界でも最も厳しい部類に入るであろう。わが国にはその一部を参考にして地区計画制度が導入されたことが知られている。この書では実際のまちづくりの話のなかで制度が日常の生活と結びつけて説明されており、制度だけを見ていては分からないことが見えてくる。また地方分権が進み市町村の主体性が強いドイツでは、地域によって様々な取り組み方がされており、その点でも従来のドイツ都市計画のイメージを大きく広げるものである。
 ここで紹介されている興味ある各種の事例は、わが国にそのまま参考にできるものではないが、いろいろな新しい提案や多くの示唆が含まれている。この書をドイツの都市計画に関心を持つ専門家はもとより、一般の読者にも広く一読をお薦めしたい。


ドイツのまちづくりプロセスが解る

大阪大学教授 鳴海邦碩

 都市計画の研究と実務を、ドイツで永年続けてきた旧友の春日井さんが、ドイツのまちづくりの事例集をまとめられた。「ドイツの都市計画は硬くて細かすぎる」というのが一般的な印象だと思うが、この本を読んでみると、それが実に多様で面白い。まちづくりがいろんな角度から取り組まれているのである。
 まちづくりについて、ドイツに視察に行ったりするが、短期間の訪問では、成果は見えるがプロセスは見えない。そのプロセスが、この本では良く解る。大変な苦労と工夫、紆余曲折を経ながら、長い時間をかけて行われているのである。成果ももちろんだが、このプロセスに学ぶべき点が多い。
 都心再生や景観・環境・交通など今日的な問題について選りすぐった事例が紹介されている。そういった問題に取り組む多くの方々にお薦めしたい。


学芸出版社
目次へ
学芸ホーム頁に戻る