一級建築士設計製図試験 ステップで攻略するエスキース


はじめに─なぜエスキースをステップ化するのか

製図試験の難しさとは

一級建築士設計製図試験は合格率が約4 割、5人に2人以上が合格する試験であり、数ある国家試験の中で難関と言われるほどのものではありません。しかし、あなたを含む多くの受験生が、「製図試験だけは独学では不可能」「学科と製図は別物」と感じているのも事実です。
合格率だけではわからない製図試験の難しさとは一体何なのでしょうか。
毎年課題は7月末に発表され、10月初旬に試験が行われます。その課題となる建築物を6時間半で設計します。他の試験では、多くの設問数があり、1問くらいミスしてもなんとかなるのですが、こと製図試験では1問しか出題されません。この1問に多種多様な条件が盛り込まれており、エスキースを含む意匠設計に関して自信がない、または経験のない受験生にとっては、エスキースする足がかりすら見えない試験なのではないかと思われます。

ひとつひとつの情報を明確に読み解くことがスタート

2000年以来、製図試験.com(前身は学科製図.com)では、製図試験で設計する作業としてのエスキースをステップ化して解説してきました。A3判の問題用紙に書き込まれている多種多様な情報は、ひとつひとつをていねいに読み込んでいくと、それぞれ非常にシンプルな答えを持っています。
まず、この情報を丹念に集めること、読み解くことが重要なのですが、受験生の多くはこの読解ができていません。それは意匠設計、特にエスキースとは全ての情報を統合的にまとめる作業であり、ステップ化できるものではないという思い込みがあるためだと思われます。
結局、30課題以上を解いていたとしても、実は基礎練習もせずに、単に条件を全部読んだ上で要求室を並べているだけのプランを、ひたすらループしながら必死にやっているだけの受験生があまりにも多いのです。

あなた自身の解法を積み上げていきましょう。

本書で解説している全てのステップに不要なものはありません。毎回、同じステップで解くことであなたの基本が固まっていきます。確実にエスキースへの理解を深めつつ、あなた自身の解法を構築していくことができます。
そして本書をベースにして、様々な課題に挑戦してください。問題が解けない場合のほとんどは、ステップを飛ばしたり、確認事項を怠ったりしていることに起因します。迷った際には基本に戻ること。合格するためのその基本は、本書に準備しています。
本書を手にした瞬間から、既に合格への扉は開かれているのです。

製図試験.com 代表 山口 達也