第五版 建築設備士120講


まえがき

 建築設備士は建築設備全般に関する知識及び技能を有し,建築士に対して,高度化・複雑化した建築設備の設計・工事監理に関する適切なアドバイスを行える資格者として位置付けられています.
 試験範囲は建築と設備の全般にわたり, 学科試験では,「建築一般知識」30問,「建築法規」20問,「建築設備」50問から構成されております.その内容は,各分野共に,基礎基本的なものから専門性の高いものまで,幅広く出題されます.
 ちなみに,最近の「建築設備士試験データ」による合格者の職種別属性によりますと,概ね,空調・衛生設備関連が5割,電気設備関連が3割,建築関連やその他が2割程度となっています.このような,限られた職域の専門技術者にとりましては,建築と設備の分野全般にわたり,網羅的に深く学習することは,至難の業と考えます.
 このことから,まずは,各分野の基礎基本となる学習に重点をおいて,確実に合格基準点を満たすことを目指す学習をお勧めいたします.その上で,専門分野での得点の上積みを図りたいと考えます.
 このような観点から,本書は,前編の各分野の基礎基本となる事柄をまとめた「120講」と後編の最近の出題傾向をふまえた受験対策用「ベスト演習問題」で構成しました.
 前編の「120講」の項目は,受験者が最も多い空調・衛生設備と建築系技術者の視点から選定,学問体系に沿った構成,編集としました.とりわけ,電気の分野につきましては,建築・設備に直接的に関連する最小限の項目・内容に留めさせていただき,他の重要な項目につきましては,後編の「コラム」で追補,解説しております.
 後編の「ベスト演習問題」につきましては,過去の出題内容を分析,出題頻度などにも配慮したオリジナル問題です.
 問題構成は,前編の「120講」の構成に準拠した構成としてあります.また,各問題ごとの「コラム」では,問に関連する用語・解説と併せまして,前編の「120講」の項目を追補いたしました.
 また,具体的な受験対策などにつきましては,巻末で述べさせていただきます.
 本書の編集趣旨をご理解いただき,受験対策にお役立ていただければ幸いに存じます.
 第五版を刊行するに当たり,一方ならぬお骨折りをいただいた学芸出版社編集部の皆様方に厚く御礼申し上げます.
   2017年1月
                                 大庭 孝雄