一級建築士受験 合格者たちの勉強法


おわりに


 1999年に教育的ウラ指導(以下、ウラ指導)というサイトを開設しました。当時の僕は受験生でした。建築業界の専門分化が加速している時で、「意匠設計者の僕が、構造設計者や設備設計者、さらには、現場監督といった、専門が異なる受験生と一緒に勉強することができれば、楽しく勉強できるのではないか?」と考えていました。
 実際にサイトを開設したところ、すぐに専門分野の異なる受験仲間と巡り合うことができ、翌年の2000年に、その仲間たちとともに合格を果たしました。
 受験仲間たちとは、ウラ指導の掲示板を利用して、互いの苦手分野について質問し合ったり、逆に、得意分野について教え合っていました。ある受験生からの質問について、他の受験生が回答するという具合に、勉強を進めていったのです。当時は、一級建築士受験専用の掲示板の存在が非常に珍しく、さらに、質問と回答のやりとりを一般公開していたため、全国から多くの受験生からのアクセスがウラ指導の掲示板に集まってきました。アクセスが集中しすぎて、サーバーがダウンしたこともあります。
 やがて、書籍を出版し、札幌、東京、名古屋、大阪、広島(福山)、博多で講習会を開催するようになります。それに伴い、全国各地に建築仲間が増えていきました。僕の事務所((株)イエサブ ユナイテッド一級建築士事務所)の所員の一部は大学時代の同級生ですが、それ以外は皆、ウラ指導を通じて巡り合った建築仲間たちです。
 年を重ねるにつれ、建築仲間の輪は、一層、広がっていきました。Facebook等のSNSの発達の影響も大きいです。彼ら(彼女ら)は、大手組織事務所や、スーパーゼネコン、ハウスメーカー、設計事務所や施工会社の経営者、構造設計者や設備設計者、職人、都市計画家、行政や指定確認検査機関、大学などの教育機関、ディベロッパー、不動産投資会社、建材メーカー、メディアなど様々なフィールドで活躍しており、今の僕にとって、何物にも代えがたいブレーンたちです。
 このウラ指導ネットワークのおかげで、建築についてわからないこと、調べられないこと、解決できないことがなくなりました。最近では、一緒に仕事をしたり、人材をマッチングする機会も増えています。
 本書の出版についても、全国の建築仲間の皆さんや卒業生の皆さんに、多大なご協力をいただきました。この場を借りて改めて感謝申し上げます。
 オモテのアカデミーの世界とは、対極にある「教育的ウラ指導」。そのコンセプトは、小難しい知識や細かいことは無視して、一級建築士試験に合格できればよいレベルに噛み砕いた解説を、日本一わかりやすく提供することにあります。厳密に解説してしまうと、長ったらしいものになったり、受験生の皆さんにとってわかりにくく、つまらないものになってしまうからです。そんな「教育的ウラ指導」をこれからもよろしくお願いします。
2015年11月
一級建築士受験支援サイト「教育的ウラ指導」代表
荘司和樹