新訂版 <二級建築士受験>5日でわかる構造力学


はじめに


(1)試験データ

 二級建築士の学科試験は、計画、法規、構造、施工の4科目について、合計60点が合格ラインです。各科目25点満点中、平均15点でOKですが、足切13点があるため、不得意科目をつくると合格が難しくなります。
 30%台の合格率は、決してやさしい試験ではありません。近年は、合格率の高い低いが交互にあらわれ、平成22年は受験者数が減ったにも関わらず、合格者数が1万人を回復したため高合格率でしたが、翌年は絞り込まれるかも知れません。確実な合格に向けた「あと1点」をどうするか。構造力学がネックになる方も少なくないはずです。

(2)構造力学の出題傾向

 構造の25問中、構造力学は1問目から7問目に出題されます。その出題分野と出題順がほぼ定着しており、近年の傾向は下表の通りです。
・第1問:用語と単位/力のつりあい
 用語が出ていません。分布荷重の合力は20年ぶりの出題です。
・第2問:断面二次モーメント
 過去問と同じ出題はむしろ珍しく、応用問題に難化しています。
・第3問:はりの曲げ応力度
 過去の応用問題が中心で、せん断応力度は18年ぶりの出題です。 
・第4問:はりの曲げモーメントとせん断力
 基本的な問題のほか、せん断力との組み合せが増えています。
・第5問:ラーメンの反力と曲げモーメント
 基本的な反力問題のほか、組み合せ問題から初出題まであります。
・第6問:トラスの軸方向力
 平行弦トラスの部材を3本別々の解法で求める問題が増えています。
・第7問:座屈
 いくつかの過去問が形を変えて繰り返し出題されています。

(3)本書の構成

 本書は、関連する分野を整理し、毎年出題される7問を5章9単元にまとめた受験対策本です。実際に出題された過去問の難易度に併せながら、問題を解くために必要な知識を基礎から応用まで扱っています。
・1日目:力と反力 @力のつりあい / A反力
  第1問の力のつりあいと、第3問から第6問に共通な反力計算を1つにまとめました。つりあい条件式によるつりあい計算は、多くの過去問の基礎となる重要な計算方法です。
・2日目:曲げ B曲げモーメント / C曲げ応力度
  第3問と第4問を1つにまとめ、曲げモーメントの基本から曲げ応力度の応用まで、幅広い出題に対応しています。計算過程を踏まえつつ、公式を身につけることが求められます。
・3日目:トラス Dトラスの解法
  3日目は第6問のトラスを単独で扱います。近年、場合分けされた複数の基本的な解法を理解し、使いこなせる技術が必要とされています。1つの問題の解き方も1つだけではありません。引き出しを増やす努力が大切です。章末に関連する用語と単位の解説があります。
・4日目:断面と座屈 E断面二次モーメント / F座屈
  第2問の断面二次モーメントと続けて、第7問の座屈を学習します。どちらも重要な公式があり、その理解と計算力が解答へのポイントです。関連して、補講や用語解説をつけています。
・5日目:曲げとせん断 Gせん断力 / Hラーメンの曲げとせん断
  近年、曲げとせん断の複合問題が、はりと第5問のラーメンを対象に増えています。2日目のステップアップとして、最終日にまとめました。直接関係しませんが、章末に用語の問題をつけています。

(4)学習方法

・ポイントアップ=各単元を1〜3に分け、要点をまとめています。問題を解く基礎知識として必ず覚えてください。
・例題=基礎知識を実際に使う基本問題であり、過去問の中でもやさしい問題を選んでいます。例題から直接始まるポイントアップの場合、その解き方自体がポイントです。必ずマスターしてください。
・練習問題=基本問題から応用へ橋渡しをします。全部で3つしかありませんが、ヒント→答え→解説、の流れをしっかりつかんでください。
・演習問題=ポイントアップに対応する過去問を、難易度順に2〜4問並べています。類似問題の多さは出題頻度に対応します。解説も参考に実践的な応用力を養いましょう。
・レベルアップ=ポイントアップだけでは見えてこない、定義や知識をまとめています。学習に余裕があれば積極的に読み込んでください。ただし、「5日でわかる」ことにこだわるなら、飛ばし読みも結構です。
・補講/用語と単位=各単元を補足する追加問題、及び関連する用語解説と問題を扱っています。出題頻度は低いので、レベルアップ同様、1頁2段組で構成し、飛ばし読みができるようにしています。

(5)学習目標

・7問中、4〜5問が正解できるように!
 不得意科目にしない目安は6割。力学でも6割(4〜5問)を目標に。
・単元ごとのマスターを心掛けよう!
 「なんとなくわかる」から「これとこれは大丈夫」へ。1日目の力と反力、4日目の断面と座屈、2日目の曲げ、まずはここから押えよう。