サイクルツーリズムの進め方

はじめに

 あなたはサイクルツーリズムと聞いて何を連想するだろう。しまなみ海道をゆったり走るレンタサイクルの人たち。地元の名物を楽しむグルメツアー。多くの人が参加するサイクリング大会。サイクルレースの観戦。サイクルジャージに身を包んだサイクリスト、はたまた..? 一口にサイクルツーリズムといっても、そのスタイルは実に多様だ。
 本書は日本のサイクルツーリズムの聖地の一つ、「ビワイチ(琵琶湖一周サイクリング)」の滋賀県で活動する民間の自転車まちづくり団体「輪の国びわ湖推進協議会」が制作した。2009(平成21)年の設立から10 年の間に、自主事業として、また行政と協働しながら行ってきたビワイチ推進と自転車の楽しみ方の提案、自転車の利用しやすい環境づくりの経験や、その過程で学んだ他団体や他地域の活動をもとに、サイクルツーリズム推進に参考になるノウハウと事例をまとめている。
 一通り読めば、サイクルツーリズムの始め方から、より大きな影響力を持つ活動への育て方、さらには、人々がいきいきと暮らせる元気なまちに地域を変えていくまでの道筋を知ることができるよう編んでいる。
 これまでの経験から私たちは、サイクルツーリズムは、人を変え、地域を変え、暮らして楽しいまちを実現するための有効なツールであると確信している。
 日本は今、空前のサイクルツーリズム・ブームだ。この流れに乗り、自転車利用者を増やして安全で健康的なまちづくりを進め、その土地に脈々と受け継がれた自然・歴史・文化の生きた幸福度の高い地域を、あなたの地元で実現しよう。

2019年8月1日 著者一同