サイクルツーリズムの進め方

おわりに

 私が、自転車利用促進の活動を始めたのは、2000 年になるかならないかの頃。当初は一部の自転車好きが自分たちの権利を主張するだけの活動だと思われがちだったが、やがて全国各地に自転車まちづくり団体が誕生するようになった。この本を作成した輪の国びわ湖推進協議会もその中のひとつだ。そして自転車利用環境の整備を進める自治体が現れ始め、ついには国自体が旗振り役になり、全国で多くの自治体が自転車の活用を進めるまでになった。かつての私の予測を完全に超え、志を同じくする仲間も増え、あれよあれよという間に、自転車活用推進は大きな流れとなってきた。
 また、単に個人的な趣味で日本や世界各地を自転車で回っているうちに、サイクリングとは実は、地域を、そして社会を変える大きな力を持っているということに気がついた。
 本書は、輪の国びわ湖推進協議会設立10 周年を記念し、これまでの活動の集大成として作成したものだ。輪の国びわ湖がここまで育ってきたのは、前会長の元滋賀県立大学教授 近藤隆二郎先生を始めとして、今は他の地域へ引っ越した人もいるが、これまで一緒に活動してきた仲間の力があってこそだ。そして本書の制作において多くの方に取材対応、内容確認等に時間を割いていただいた。また、学芸出版社の前田裕資さんには本書の構成を始めとして細部までアドバイスをいただいた。皆様に厚く感謝を申し上げる。
 サイクルツーリズム、そして自転車の活用は社会をよりよい方向に変える力として今後さらに大きく広がっていくだろう。本書や輪の国びわ湖推進協議会も微力ながらそのための一助となっていければと願っている。

2019年8月1日 藤本 芳一