フランスではなぜ子育て世代が地方に移住するのか
小さな自治体に学ぶ生き残り戦略

目次

推薦の言葉
はじめに

第1章 日本とフランス、地方の今

1 人口減少と東京一極集中が止まらない日本

・地方から大都市圏への人口流出
・地方都市の中心市街地の衰退
・農村部の過疎対策と地方創生

2 村落部人口流出の時代を経て、増加に転じたフランス

・国全体の人口増加と同じ割合で村落部人口も増加
・村落部に人口が流れたのは地方都市が元気だから
・村落部に移住する子育て世代
・なぜ田舎の景観が守られたか
・新しい価値観に後押しされた若者たちの村落での暮らし

第2章 フランス流「元気な田舎」ができるしくみ

1 地域活性化の中心となる地方自治体

・フランス人と自治体との関わり方
・市町村合併ではなく広域自治体連合へ
・「6割自治」で、議員と行政職員の約半数が女性

2 魅力的な田舎を守れる自治体主導の都市計画

3 フランスの人口はどのように動いているか

・村落部への就労人口の囲い込み
・過疎地帯「空白の対角線」
・過疎地対策関連法による国からの支援

第3章 人口738人・ポンジボー村の生き残り策 暮らしやすい生活環境と仕事づくり

1 働く人の顔が見える店舗が残る村

2 村会議員の3分の2は「よそ者」

3 村落共同体の活動

・村にUターンして、地域のために仕事をする若い高学歴スタッフ
・共同体が提供する高齢者支援サービス
・田舎のモビリティは県と共同体で分担
・村と村落共同体にみる、議会と行政の協働

4 村の診療所に来る若い医師たち

・医師・議員・村落共同体の協力でできた村の診療所
・すべての村に均等な投資はできない
・自己犠牲ではなく、生活の質の向上を求めて移住した医師

5 支援の充実した老人ホームを支える「連帯」システム

・国民の高税負担で支える高齢者福祉
・入所者と同じ人数の職員がいる介護老人ホーム

6 農家の副収入を生むアグリツーリズム

・農村観光資源としての民宿
・羊小屋と穀倉庫をDIYで改装した超快適な「ショーンブルドット」
・多くの国民がバカンスに出かける機会を保障するしくみ

7 官民協同で実施する起業家支援キャンプ

・キーワードは地域・IT・モビリティ・農業
・補助金ではなく情報とオフィス・OA機器を提供

第4章 伝統的な塩づくりで人口増加を果たしたバシュルメール村の闘い 地場産業の復活と自然保護

1 天日海塩の商品化で人口を大幅に回復

・19世紀の繁栄後、第二次世界大戦前には人口が半減
・天日海塩の歴史を語る博物館

2 地場産業を守るための闘い

・議員たちが進める別荘地誘導政策との闘い
・塩職人の地位向上への道のり
・産地の差別化による食文化の興隆
・天日海塩の保護から地域の湿地帯保全へ

3 誰が伝統産業と塩田を守ったか

・塩職人・議員・学者・環境NPOと移住者
・補助金に頼らずプロジェクトを遂行する「よそ者」

4 観光産業振興と村の将来

第5章 移住者の「生き方」を支援するカドネ村の戦略

1 1978年に最後の籠工場が閉鎖した村で人口が2600人から4254人に

・移住者を受け入れる村・カドネ
・都市部の若者を囲い込む

2 なぜ人口が倍増したのか

・交通事情の改善
・少子化対策と女性の社会進出
・高等教育と都会志向の薄さ

3 村づくりに貢献する移住者の生き方

・村の市街地整備を担うアーキテクトは移住組
・小さな村の合意形成
・食を活かした産業振興に関わるオリーブ精製工場オーナー

4 移住者を受け入れ、支援する村

・NPO活動を通した地元への統合
・小さな村役場はどのように成長していくか
・ネオルーラルと旧住民が混在する新しい社会現象
・村の将来への展望

5 隣村・ルールマラン村に見る抑制的な土地利用と公共空間魅力化による「アートの村」づくり

・158の「フランスの最も美しい村」と郷土愛
・農村観光のあり方
・どんな小さな村にもある「マルシェ」のしくみ・村が管理する公共広場と道路空間

第6章 コミュニティを支える最低限の機能を確保する中心市街地政策

1 人口10万人以下の自治体の明暗

・空き店舗が少ない地方都市の中心市街地
・人口が10万人以下の「シャッター通りがない町」

2 空き店舗率1.7%のビアリッツ(人口2万5000)に見る、街に人を呼ぶモビリティ政策

・町長自らが陣頭指揮する冬場の観光客誘致政策
・自治体が管理する公共空間としての海辺
・商店街への車のアクセスを守り、歩行者にも優しいきめ細かい駐車対策
・新しい住宅開発とまちの発展

3 5年間で6750億円を投入する政府の中心街活性化策

・シャッター通りを抱える人口5万以下の町の共通項と複合的な要因
・郊外の大型店舗とネットショッピングへの対応措置
・自治体が主導する中心市街地活性化政策

4 一度は政策の失敗で市街地が衰退したサンブリュー(人口4万5000)の総合的な中心市街地活性化策

・郊外大型店舗との競合と広域での都市発展政策の不在
・中心街の魅力を高めるための公共機関による総合的な支援
・空き家対策への取り組み
・あきらめず町の発展を図る自治体―住宅対策とモビリティ

第7章 文化と教育の力で活性化を図るシャルルヴィルメジエール

1 1980年代の繁栄後、人口が6万から4万7千に激減

2 小さな町で共有する世界の文化

・まちなかの空間を活かして開催される「世界人形劇フェスティバル」
・人形劇を通して世界とつながる

3 若い首長の自治体新生への試み

・大学誘致と環境・公共空間の魅力化策
・地元の村長を兼務するシャルルヴィルメジエール自治体職員

4 40歳を前にエリート官僚から転身した首長

・フランス政財界を動かす「エナルク」
・定年後ではなく働き盛りに故郷の町に帰ったわけ

5 パリを脱出したい人たち

・パリで開かれる「地方就活フェア」
・ネオルーラルを生む移住者向けウェブサイト

第8章 フランスから何を学ぶか

1 村での生活を続けるための工夫

・サービス機能を守りぬくためのアイデア
・広域で補う行政サービス

2 小さな村落が生き延びるための考え方

・都会を模倣せず、田舎を大切にする
・新参者の積極的な受け入れに必要な寛容性

3 地方活性化は村落と地方中核都市の両輪で

・過疎の村に仕事をつくることにこだわりすぎない
・過疎地の再生は地方都市の仕事づくりから

おわりに