都市を変える水辺アクション
実践ガイド

あとがき

 この本は、我々と同じく、これから水辺を自分たちの暮らしの中に取り戻したい、そして水辺から都市をワクワクするものに変えていきたいという実践者の方々に届けたい。
 都市における川は人間でいう循環器のようなもので、都市の健康状態が表れる部分ではないだろうか。市民自らが使いこなし愛着を持てば、いきいきした風景が表れ、都市のイメージを左右するくらいの効果が生まれる、とても可能性のある場所だ、と最近つくづく思う。
 水辺のアクションに関わるきっかけとなったのは、2002年、都市大阪創生研究会という研究会に参加し、「リバーカフェ」という川に浮かぶレストランを設置運営した体験だった。その過程で、川や船の素人である我々はかっこいい遊び好きなオヤジたちに出会う。川沿いの彼らの基地には立場を超えて官民の面白い人が集まり、この企画を実現させようと試行錯誤して下さった。本当に感謝すると同時に、この時、自分の暮らすまち大阪で、もっと身近な水辺やまちを仲間と面白くしたい!やりたい人を応援できるプラットフォームをつくりたい!と強く誓ったのを覚えている。その後の水都大阪の一連の動きはまさに、アイディアを持ち実現する人に任せて応援し、都市全体に広げる枠組みづくりであった。
 公共は個からはじまる、大きなマスタープランありきでは動かない。個々の人の顔が見える、その思いや事業成果が共感を呼び公共になる。
 この数年、大阪での実践や他都市の実践者との交流の中で、従来型のビジョン⇒設計⇒工事⇒運営管理という一方通行でぶつ切りのプロセスの限界を超える複合的なアプローチの必要性を再認識した。それらの実践者のみなさまに執筆していただいた本書から、生きた働きかけの視点が見えてくる。水辺から都市へ、楽しみながら動いていこう!

平成27年9月  泉 英明


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 この本の出版に至る水辺のゲリラ活動や水都大阪に尽力されてきた皆様に感謝します。
 リバーカフェの実現や水辺や船の遊びを教えていただいた山崎勇佑さん、伴一郎さん、まちへの働きかけを学んだ都市大阪創生研究会の鳴海邦碩先生やメンバーの皆さま、ご来光カフェ・北浜テラスなどのプロジェクトをともに妄想し実現させたNPO仲間や山西輝和さん、山根秀宣さんはじめ建物オーナーの皆さま、水都大阪全体の大枠をつくられた先生や府市経済界の方々、水都大阪2009実行委員会の室井明事務局長や皆さま、2011年からディレクターチームとして若手に任せる体制をつくられた先生や府市経済界の皆さま、ディレクターや協力事務所の方々、市民が市民をもてなすサポーター・レポーターの皆さま、アートで都市を使いこなすおおさかカンヴァスの皆さま、大型から小型船までの舟運事業者の皆さま、長町志穂さんなど照明デザインや設備設計の皆さま、水都大阪パートナーズの仕組みを生み出し調整し実現させた皆さま、仕事を辞めてパートナーズの代表になる決断をされた高梨日出夫さん、推進会議の事務局で様々な調整やPJ支援をされた大阪商工会議所の中野亮一さん、パートナーズと二人三脚のオーソリティの府市の皆さま、各管理者の皆さま、多大な応援をいただいている経済界企業の皆さま、中之島公園・中之島漁港・道頓堀をはじめ17水辺拠点の事業者や管理者のみなさま、藤井政人さんなど全国の水辺アクションをつなぐミズベリングの皆さま、全国各都市の水辺活動家の仲間の皆さん、パートナーズのメンバーの皆さま、1年を超える長丁場で編集に付き合っていただいた学芸出版社の中木保代さん。ありがとうございます!