地域おこし協力隊

日本を元気にする60人の挑戦


おわりに

 2015年3月8日、六本木ヒルズが大変な熱気に包まれた。300名を超える地域おこし協力隊員をはじめ総勢700人の地域おこしに燃える人たちが全国から集結した。日本を地域から元気にする「地域おこし協力隊」の創設から5年余り。初のビッグイベント「地域おこし協力隊全国サミット」。

 オープニングスピーチは高市早苗総務大臣。「都市から地方へ人が流れ、若い方の感性で地域が元気になっていく。そんな地域が全国にできていけば、日本が変わると思いませんか? そのきっかけをつくるのが地域おこし協力隊。総務省の自慢のプロジェクトです」と、協力隊の今後の活躍に期待を寄せた。

 このサミットでは、全国の地域おこし協力隊員による15秒PRや、隊員が開発に携わった産品の物産展や地域のPRを行う「地域おこし協力隊フェア」も実施され、3000人を超える来訪者で賑わった。

 地域おこし協力隊がここまで注目を浴びたのは次の安倍総理の発言が大きい。総理が2014年6月の鳥取県・島根県視察時に協力隊員と意見交換を行い、「地域おこし協力隊の若い皆さん、彼らが本当に地域で知恵を出して、汗を流して、地域の皆さんと一緒になって地域の活性化に大きな役割を果たしている。地域おこし協力隊員を、3年間で今の1000人から3000人にすることを総務大臣に指示する」と述べたのだ。

 総務省はそのために支援策の充実を急いだ。隊員の起業に要する経費への100万円の特別交付税措置の創設、そして国の予算にも地域おこし協力隊関係予算を初めて計上した。制度説明会、初任者から起業・事業化まで隊員のステージに対応した研修、起業支援のモデル事業なども行っている。また、課題になっている受け入れ自治体や地域のサポート体制の整備のためのモデル事業の実施も盛り込んだ。

 全国で活躍する地域おこし協力隊員は、2014年度1500人を超えた。しかし、受け入れ自治体数は444。受け入れた場合に特別交付税措置の適用がある市町村数(1382)の3割強に過ぎない。残る7割近くの市町村は受け入れていないが、次の点をご理解いただき、ぜひとも受け入れを検討していただきたい(詳細は総務省ホームページ「特別交付税措置に係る地域要件確認表」を参照)。

・三大都市圏外の市町村は、すべての市町村が特別交付税措置の対象となる(隊員の転出地に一定の要件あり)。つまり条件不利地域でなくても活用できる。

・三大都市圏内の市町村であっても、条件不利地域を有している市町村は特別交付税措置の対象となる(隊員の転出地に一定の要件あり)。

 地方創生の切り札とも言われ、意欲と能力あふれる若者の力で各地で成果をあげている「地域おこし協力隊」に今こそ取り組むべきと考える。一方、協力隊の受け入れにあたっては、自治体の首長、職員さらには地域の住民にも相当の努力、協力が求められる。自治体、地域の皆さんも一歩前に踏み出して協力隊員と共に地域おこしに取り組めるよう、総務省としてもしっかり支援していきたい。

 最後に、地域おこし協力隊を志望している方々、受け入れを検討している自治体・地域の皆様、「地域おこし協力隊」の力で日本の未来を開きましょう。

前総務省地域自立応援課長 佐藤 啓太郎