都市計画の理論


書 評
『建築士』((社)日本建築士会連合会)2006.11
 本書は、おおむね1970年代後半以降、とりわけ1990年代以降の都市計画理論を幅広くレビューしており、我が国における都市計画の諸課題に取り組む際に、どういう理論を根拠にしているのかを考えるのにおおいに役立つ。巻末に資料として「都市計画理論の近年の動向」として、用語辞典風に付属されており、都市計画の研究者にとって、あるいは大学生にとって参考書としても役立つ本である。
 また、本書は3部構成になっている。第1章都市計画理論の展開と近年の課題、第2章都市計画における価値と目標(現代という時代の価値)、第3章都市計画の主体と決定方法である。理論とは、さまざまな現象の背後に通底する法則である。どの理論を活用するのか、その理論がどの程度有効なのかは相対的なものであり、絶対的正解があるわけではないという前提で各種理論を整理している。そういう意味で都市計画理論も時代とともに変わってきており、いろんな都市計画理論の流れのなかで21世紀の都市計画は、主観の時代、個性の時代を踏まえた、対話型都市計画理論にたどりついた軌跡がよく理解できる。
 さらに、21世紀のまちづくりにつながる注目すべき動向や実践事例がわかりやすく解説されており、現代の都市計画の価値や目標が示されている。
 10人の著者の力作であるが、タイトルどおり系譜と課題であり、今後もこの書籍を基本として研究を深めてもらえるとありがたい。
 ただ、読み物としては、結構ハードであり、むしろ最初は、素読して、全体のアウトラインをつかむことが良いだろう。そのあとじっくり研究課題を深めていくための指導書として最良である。
(大嶌栄三)

『地域開発』((財)日本地域開発センター)2006.9
 本書は、日本の都市計画理論や思潮、運動・言説などを幅広くレビューし、これからの日本のまちづくりにつながる注目すべき動向や実践事例を解説したものである。
 内容は3部から成る。都市計画理論の最新議論が歴史的経緯を整理した第1章に続き、第2章では「公共の福祉」という都市計画の目標からみた重要な5つのテーマ、生活の質・空間の質・モビリティ・環境・地域活力について論じている。第3章では、都市計画の主体と決定方法を理論的に考察した上で、町内会とまちづくり協議会・都市計画策定手続き・コラボラティブ=プランニングに関する実践的考察が展開される。さらに、巻末の資料には本編で紹介されていない関連理論が幅広く紹介されており、要所をおさえつつコンパクトに議論が整理されている。
 研究者必携であることは言うまでもないが、理論よりもツールが先行しがちな実務において、本書を通して理論から都市計画のありようを再考してはいかがだろうか。

『建設通信新聞』2006.3.14
 都市計画は、私たちの生活空間をより快適にし、生活の質を高めるために、有効に機能しているのだろうか。
 こうした疑問にこたえるため、都市計画をその理論にまでさかのぼり、これからの方向について考察する。
 都市計画について、展開と近年の課題、価値と目標、策定と実現の3つの大枠を設定して、なぜ都市計画が必要なのかということから、都市計画の公共性や社会資本との関係などを説いている。
 また、今後のまちづくりにつながる注目される動向や事例も解説している。巻末には、都市計画の在り方を考える上で必要な思潮などを含めた、都市計画の近年の動向が、資料としてまとめられている。

『地方自治職員研修』(公職研)2006.4
 私たちの生活空間をより快適にし、人々の生活の質を高めるために都市計画は有効に機能しているのだろうか。その疑問に応えるべく、編著者らは都市計画の理論にまでさかのぼり、今後の方向性について考察する。都市計画の総合性、説得力の強化に留意し、厳密な意味での理論に限定せず、これからのまちづくりにつながる注目すべき動向や実践事例を交え、解説を加えていく。巻末に、都市計画理論の近年の動向が細かく分析、資料として添付されており、都市計画理論の現在を知ることができる一冊。