参加型・福祉の交通まちづくり


書 評
『建設通信新聞』 2005. 5. 19
  2015年には国民の4人に1人が65歳以上の高齢者となることが予想されているわが国では、公共交通機関などのバリアフリー化が優先課題の一つとなっている。
  2000年11月に施行された交通バリアフリー法に基づいたまちづくりの考え方や事業実施体制づくり、市民参加によるワークショップでの検討手順などを、一般市民、行政機関を始めとする関係者向けにわかりやすく解説する。
  とくに、構想、計画づくり、事業の実施に焦点を当て、市民参加型の取り組みを実現するうえで必要となる理念や知識を提供している。
  バリアフリー基本構想などの作成に当たっては、行政に対して長期的なまちづくりとの整合性や利用者ニーズを的確に反映した事業展開を求め、「ニーズを理解するには利用者に教わることが重要」と、行政が見落としがちな基本原則の順守を強調している。
  一方、一般市民に対しては、「行政の補完的役割」としての自覚を喚起した上で、積極的な参加を求めるとともに、将来的な維持管理活動を含めた継続的な参画が必要としている。
  公共事業の構想、計画づくりは、市民と行政の相互理解の上に成り立つべきという原則と、地域社会の担い手としての市民参加の重要性を改めて認識させられる。