サイン環境のユニバーサルデザイン

サイン環境のユニバーサルデザイン

計画・設計のための108の視点


あとがき

 サインを案内標識や看板に限定せず、生活環境におけるありとあらゆる場面に関わる事物を対象として考え、高齢者や障害者をはじめとするすべての人にやさしい環境づくりをめざすという視点から、国内外の事例や文献あるいは日ごろの研究室における調査実験などの結果に基づいて作業を続けてきました。「ユニバーサルデザイン」という新しい概念はこれまでの「バリアフリーデザイン」におけるさまざまな検討課題を浮かび上がらせることに貢献していますが、反面「バリアフリーデザイン」そのものの実態や内容、今後の課題等を十分に検討することなく、表面的に「ユニバーサルデザイン」の名称に置換えたような取組みが多くみられるのは残念なことです。
 私たちはユニバーサルデザインそのものの概念に固執することなく、これからのすべての人に魅力的で安全快適な生活環境を実現する手がかりを少しでも探ろうと試みました。まだまだ時間的な制約や十分な検討がされていない部分があったり、また同様の趣旨で日常の計画やデザイン活動あるいは調査研究に従事されている方々の成果や努力について十分把握できていないことも事実であると思います。しかしながら現段階における私たちの視点や作業結果を公表することにより、より多くの人から意見やアドバイスをいただき、今後の計画に向けたよりよい視点や具体的提案をしていく契機としたいと考えています。
 なお、本著の作業において、第1章・3章・5章・7章については田中が、第2章および4章については岩田が担当し、第6章については共同で分担しました。今回の作業にあたっては、日ごろ調査研究においてご指導いただいている多くの先生方や、関係者の皆様のご協力がありましたことに厚く感謝申し上げます。とりわけ図版の整理などにご協力いただいた老田智美および大塚倫子の両氏、ならびに出版編集に多大な作業とご助言ご協力をいただきました学芸出版社の前田裕資、三原紀代美、永井美保の諸氏に厚く感謝を申し上げます。

学芸出版社
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