現場写真でわかる! 建築設備の設計・施工管理


おわりに


長年、現場を監理しながら気が付いたことがあります。どの現場も同じ箇
所、似たような部分で間違いが起きているということです。間違いを少な
くできないものかと、設計図に、こと細かく記載することも試みましたが、
図面上にすべてを網羅することは不可能といっても過言ではありません。
そこで、これまで起こった間違いや注意点、設計の意図や決まりを事前に
示して注意を喚起しようと、現場写真を交えてつくった資料が本書のもと
になっています。


資料と言っても基礎的な事柄を解説したにすぎませんが、配線や配管、機
器の据付け、維持管理への配慮など、教科書にはない現場の知識と臨場感
を感じてもらえたのではと思います。


作図では、事務所スタッフの栗原直久君、大久保宏明君、田中公康君、相
川拓君、三輪野曜君に協力してもらいました。私は、設備設計事務所の実
務を通して設計を習得した独学、浅学の徒にすぎません。参考として掲げ
た図書は、私が過去に目を通したものですが、引用するにあたり、改めて
その内容の豊富さに感心致しました。本書を入り口に、参考図書でより知
識を深めていただきたいと思います。


かつて、学芸出版社の書籍で大庭孝雄先生の『給排水設備の設計法』があ
りました。私の事務所に新人が入ると、まずこの本を読むことからスター
トさせました。お世話になった学芸出版社よりの出版は感無量の思いがあ
ります。


本書が簡潔で、当初の資料を超えるものになったのは、ひとえに学芸出版
社編集部と担当の岩切江津子氏のご尽力によるものです。心から感謝いた
します。


2016年7月
定久秀孝