KOHEI NAWA|SANDWICH
CREATIVE PLATFORM FOR CONTEMPORARY ART

prologue


京都・伏見の旧サンドイッチ工場跡をリノベーションしたスペースを拠点に、アーティスト、建築家、デザイナーなどジャンルを越えた仲間が集まり、SANDWICHという創作のためのプラットフォームを立ち上げて、約5年が過ぎた。

振り返ってみると、ここ数年の記憶はすべて断片的で順番も曖昧だ。「いつもどこかで何かを生み出している」という実感だけを頼りに、自分たちでも信じられないほどのスケジュールで何十件ものプロジェクトを抱え、動かしてきた。

この本では、SANDWICHがどのように始まり、多くのクリエイターたちとプロジェクトを成し遂げ、組織として進化してきたか、そのプロセスを追いながら、SANDWICHの今後についても探ろうとしている。

コンテンポラリーアートが美術館やギャラリーなどの枠を飛び越え、日常の中に佇み、溶け込んでいけば、作り手と受け手が密接につながり、思考の変化や発展を促すことになるだろう。SANDWICHがその役割の一端を担えるよう、変化を恐れずに挑戦し続けたい。その先に何があるのか、期待と不安を抱きながらも、これからも自分たちらしいものづくりを楽しんでいきたいと思う。

この本では、普段なかなか見ることのできないアートの制作現場やさまざまなプロジェクトの成り立ちを紹介した。私たちが生きている時代をもっと深く知るきっかけになれば幸いである。

2014年1月 名和晃平