無垢の木でリフォーム


まえがき

 心豊かな暮らしを求めるリフォームが注目され、昔から使われてきた無垢の木は、健康や環境にやさしい新しい素材として、見直され始めている。
  無垢の木、国産材を使って健康的な住まいづくりの運動を始めるきっかけは保育ルームを建てたことである。子どもたちにできるだけ安全なものを探し、選んだのが国産材の杉、檜であった。無垢の木に囲まれた空間の中で、子どもたちが伸びやかに、元気になっていく様子を目の当たりにし、無垢の木のよさを実感した。
 無垢の木、国産材でリフォームすると「気持ちがよい、落ち着く」「よく眠れるようになった」という声が聞かれる。このような評価に加え、最近では医学的な研究も始まり、木が私たちの健康によい影響を及ぼすことが解明されつつある。  施主への調査をすると大半の人が、「木が好き、木の家が好き」と答え、木に対するニーズは高い。しかし、今私たちの身のまわりにあるのは、木目が印刷されたものや、木を薄くスライスして張りつけたものが多く、本物の無垢の木はほとんど見られない。
 施主が木のリフォームを望んでも、施工が大変、クレームがこわいと建てる側が敬遠することも多い。高気密住宅、マンションの人工的な空間にこそ自然のものである無垢の木が必要とされているのだが。今の住まいに対しての木のマニュアルが少ないことも妨げになっている。
 本書は、女性建築士のグループが、木を使いたいという強い思いから、情報を集め、試行錯誤しながら実践してきたものをまとめたものである。木によるリフォームのノウハウ、選び方、買い方、使い方などをQ&A形式で述べている。施工例では、畳を木の床に変えるという比較的簡単なものから最新の設備である床暖房を使ったものまで、戸建住宅だけでなくマンションや賃貸住宅での使い方を紹介している。
 住宅会社、工務店、建築士、木のリフォームを考えておられる施主の方の参考になればと願っている。