魅せる!実践CADパース


はじめに


 パースを描くようになって、かれこれ半世紀になろうとしています。建築を始めとした「ものづくり」の世界においては、設計者と施主とのコミュニケーションがもっとも重要なポイントとなりますが、お互いの思いが一致しているかどうかの確認には、パースが最も早く、わかりやすい手段だと、様々な場面を経験し実感してきました。
 手描きによるパーステクニックは、それなりの熟練度が必要になり、道具も絵の具から色鉛筆、マーカー、エアーブラシと変遷を重ねてきました。近年ではあたかも竣工写真のようなCAD、CGが主流となっています。ソフトがいとも簡単に完成予想図を制作してくれるようになりましたが、平面図を入力するだけでパースが立ち上がり、ただ立体像が見えるだけでは、パースの本来の意味は半減してしまいます。長年パースの仕事をしてきて思うのは、今も昔も「想い」は同じだということです。施主に夢をもたせ、「創りたい」と思ってもらうといったところは変わりません。
 数年前、実務面においてパースの意味をよく理解している、CADソフトを扱う専門家の方と出会う機会に恵まれました。パースを描く上で最も重要と思われる「魅せ方」の要点を話し合い、その経験をもとにCAD、CGにおけるポイントを重点的に本書にまとめました。パースの専門家でなくても、このポイントさえチェックしておけば、プロ顔負けのCADパースが出来上がる、お互いの持てるノウハウを十分に話し合い、実務に役立つ本を制作したつもりです。
 ?イオグランツの山中社長はじめスタッフのご理解と協力がなければ、この本が日の目を見ることはなかったことでしょう。
 ぜひ、この本を参考にしていただき、「今までに描いたパースと全然違う!」という驚きを体験していただきたいと思います。

 
平成27年5月
(株)コラムデザインセンター
宮後 浩