学芸セミナー/野村勘治庭園シリーズ 第7回

謡曲庭園を語る
完成期(曲を辿る庭巡り)








渉成園 傍花閣

中世に生まれた「能」は物語を曲と舞で表現するもので、今で言えばミュージカルと同列の芸能と言えます。かつての人々は、ミュージカルナンバーを覚えるようにいくつもの曲を諳んじていました。能の楽しみは、ただ観賞するだけでなく、自ら演ずるところにあると言ってもよいでしょう。
同様に、謡曲庭園の究極の鑑賞法は自らが役を演ずるように庭に入り体験することにあり、シナリオに従って場面は移り変わり、曲に乗って景色は変化していきます。その点で、謡曲庭園は映像というメディアがなかった時代の映画とも言えるものでしょう。
その先駆けである「名古屋城・二之丸庭園」のモチーフは謡曲『石橋』。関ヶ原の戦勝を祝う物語が重ねられており、ワンシーン・ワンカットの短編映画を思わせます。
また、源融の邸宅であった河原院の跡地と考えられている東本願寺の「渉成園」では、謡曲『融』の物語とロケーションが一致する庭園に迷い込むと、3Dを超えた4Dとも言えるねじれた空間のような不思議な世界を体験することができます。
対して、水戸徳川家の「小石川後楽園」はオムニバス映画。藩主夫人の里帰りの旅路の中仙道には謡曲『竹生島』が、ゴールの都には『西行桜』が重ねられています。
観てから聞くか、聞いてから観るか?
まず手始めは、会場より歩いて10分のところにある「渉成園」の『融』から。潮を汲む源融が待っています。

野村勘治






日 時/2019年2月16日(土) 14:00〜17:00(13:30開場)
    ※終了後、別会場(酔心)にて野村先生を囲んでの懇親会を予定(17:30〜19:30、事前申込要)
場 所学芸出版社3階 タイルギャラリー京都(京都駅より徒歩約5分)
     京都市下京区木津屋橋通西洞院東入/tel:075-342-2600




会 費/2500円(懇親会参加者は別途会費 3500円)
定 員/40名

【講師紹介】
野村勘治(のむら かんじ)
(有)野村庭園研究所代表。
1950年愛知県生まれ。東京農業大学短期大学卒業。重森三玲氏に師事し、作庭のかたわら桂離宮・金閣寺・竜安寺等名園の実測は百数十庭を数える。愛・地球博日本庭園監修など。京都林泉協会副会長。日本庭園学会理事。三重大学非常勤講師。






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