タウンリゾートとしての商店街

推 薦 文

伊藤滋氏

新しい中心市街地の形成に役立つ提案

 都市の成長と拡大が商店街から人びとを奪い取り、郊外ショッピングセンターが若者の新しい魅力となった。

 商店街は人びとを再び町の中に呼び戻し賑わいを取り戻すために、いろいろな努力をしている。これらの努力が実を結んだ都市もある。一方、全くの無駄にすぎなかった都市も沢山ある。

 吉野さんは数多くの商店街の成功と失敗の事例を足で調べ、新しい観点からの分析、評価、提案され『タウンリゾートとしての商店街』をまとめられた。そこには、吉野さんの愛情溢れた町家観が展開されている。現代町家による中心市街地を作りあげることができれば、それは再び若者を古き良き街に引き戻す力になろう。

 現代都市計画の苦い失敗は古い町家を喪失し、新しい町家を創り得なかったところにある。それ故にこそ、この書が新しい日本型中心市街地の形成に役立つことを期待する次第である。

(いとう しげる/東京大学名誉教授・慶応義塾大学教授)

石原武政氏

商店街の再生が都市再生の切り札

 商店街が衰退する中での規制緩和の追い討ち。商店街に未来はあるのか。商店街の原形を町家にまで遡りながら、商店街が地域に果たした役割を根本的に問いなおした吉野氏は、商店街の再生こそが都市再生の切り札であると主張する。従来の商店街に対する画一的な見方を超えて、多様な方向を豊富な事例で提示し、その明快な論理とあわせて説得的である。都市小売業の将来を真剣に考え、都市政策と流通政策の統合を模索する人々は、本書から多くのことを学に違いない。ぜひ一読をお勧めしたい。

(いしはら たけまさ/大阪市立大学教授)

鳴海邦碩氏

日本の都市空間を特徴づける商店街

 〈商店街は都市文化の遺産である〉とはなかなか刺激的な問題提起である。〈文化遺産〉といってみたくなるほど〈商店街〉は日本の都市空間を特徴付けている。そうした商店街が生き生きと生き続けることによって、都市は日本の町らしさを持続することができるように思う。そのための重要な切り口を本書は提案している。まちづくり関係者に是非一読をお薦めしたい。


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学芸出版社『タウンリゾートとしての商店街』/ gakugei.kyoto-inet.or.jp

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