日本の都市環境デザイン
これは困った環境デザイン
こじつけ的表現
国道233号沿い。
これは鈴蘭だろうか。 街路照明が人食いオバケ花になってしまった(北海道苫前市)
国道232号沿い。
地域の特産物をシンボル化しようとしたものだが、 あまりにもそのままの形である。 空中にメロンが浮遊する町の景色は奇妙である(北海道小平町)
種吉沢トンネル
山岳道路を軽快に走行中、 お化けサクランボと遭遇する。 地域の特産物の図化・デザインは、 えてして稚拙な段階にとどまるようである(北海道小樽市)
JR岡山駅前シンボルロード
岡山の伝承といえば「桃太郎」。 そこで「桃」が先端にくっついた街路灯である。 あまりにも安直で短絡的な意匠であって、 環境デザインにまで高められていない、 と言わねばなるまい(岡山県岡山市)
厚化粧
安全柵に描かれたチューリップ
道路の安全柵にチューリップや魚などの絵が延々と描かれている。 楽しい道路空間づくりをねらいとする試みであろうが、 このような単純すぎる図柄を見ながら歩いても楽しい気分にはなれないと思われる(大阪府吹田市)
旧玉川上水ルート上橋梁
旧玉川上水の暗渠化にともない、 上部を歩行者散策路とし、 ここには不要の橋梁をあらためて設置しなおしている。 散策路を歩く人には邪魔になるが、 ジョギングする人はこれをハードル競技よろしく飛び越えている(東京都渋谷区)
ロマンティック・ポーセリン街道
磁器の町有田にふさわしい豪華な仕上げだが、 「青海波」「紗綾形」「葛唐草」その他の伝統的文様が数十メートルごとに使われ、 統一性が乏しくて小うるさい感がある。 擁壁にもタイル絵となると少々過剰気味(佐賀県有田町)
藻来堀川水門
この飾り立てと色彩は、 水門の機能に見合うものとは思われない。 田園風景のなかで突然にこの水門に出くわすと、 誰でもびっくりするはずだ(熊本県熊本市)
寸賀尻橋名神IC附近
工場や倉庫の集まる地域の橋上デザインの例であるが、 色とりどりに舗装されたアルコーブや大げさな照明・銘板台、 植栽帯など、 過剰なデザイン処理がなされており、 「やりすぎ景観」となっている(大阪府豊中市)
神崎川堤防に描かれた絵
殺風景な河川空間にうるおいを与えるために、 堤防法面にペイントを施す例があちこちで見られる。 この例では、 鮮やかな色彩と意味をもち過ぎた形が周囲の自然や町並みから浮いてしまっている(大阪府豊中市)
安易
知沢辺川本郷橋
このところ、 橋梁の親柱にはこのような過剰なデザインを施されることが多い。 自然に近い場所に具象的な絵を持ち込んでまとめ切るには相当の腕前が求められるが、 この例は未だしの感あり(北海道厚真町)
京橋附近でみた円錐形花壇
ピンコロ舗装の交通島らしき空間に後から設置された植栽桝。 インターロッキングを縦方向に積み上げるアイデアだが、 この場所でなぜ円錐形の形態なのか、 なぜ花壇に花の絵を描くのか、 など意味不明な点が多い(大阪市都島区)
フンベ山トンネル入口の装飾画
トンネルの坑口に具象的な絵を描き込んだもので、 運転者の目を惹きすぎて危険であるし、 まわりの自然風景との調和が考えられていない(北海道登別市)
放置
ショッピングモール
おもちゃ箱をひっくり返したようなデザインも問題だが、 メンテ不足のため、 ペンキがはげ落ちてしまって、 なおうら悲しい(東京都八王子市)
町役場外構
町役場の外構の例。 植栽部の手入れは十分だが、 なぜか屋外灯は手入れされぬままに塗装が剥れ、 さびついてしまっており、 取り残されている(北海道七飯町)
国道176号庄内附近沿道
アメニティ向上を目指して環境整備された道路であるが、 放置されたごみやのぼりなどにより、 心地よさをなくしてしまっている(大阪府豊中市)
おもちゃ箱
商店街の店舗建替え
道路拡幅にともなう商店街の建替えが各地でみられる。 商店街のイメージを継承・発展させたり、 新たなイメージを創り出していく大きなチャンスであるが、 ここではなんの統一感もみられず、 見事にバラバラである(三重県松阪市)
隅田川親水空間
隅田川の親水空間化のためのデザインは、 場所を移すごとに、 堤防壁面の意匠・手摺の形状や色彩などが次々と関連性なく移り変わる。 共通のデザイン指針がほしいと思う(東京都中央区)
永代橋等のライトアップ
隅田川にかかる橋梁のライトアップが進められているが、 すべて異なる色・デザインになるという。 全体としてみると関連性を欠いたおもちゃ箱のような川べりができていくとなると困ったもの(東京都中央区)
ショッピングセンターの色彩設計
全国どこへ行っても、 同じ形態と同じ色彩で店舗展開するチェーン店は多い。 そのことも問題だが、 この場合は彩度の大きい赤・黄・青の彩色が強烈すぎて、 大いに物議をかもしたそうである(名古屋市港区、 岐阜県岐阜市)
気配りのなさ
標識などの過剰集積
狭い道路にガードレールが配され、 歩道側に電柱・交通標識・広告物などが設置され、 歩行者はどこを歩いていいのか戸惑うばかり。 これを見越してか、 電柱の陰はオートバイの止め置き場になってしまう有様(東京都千代田区)
商店街通りの電線類地中化
電線類の地中化に伴って設置される地上機器は、 景観的にも空間的にもやっかいなしろものであり、 時には地中化の効果を半減させてしまう。 ここでは地上機器が店舗の入口を塞ぎ、 歩行者空間をせばめている(島根県松江市)
駐輪場の設置場所
公道上に設置された駐輪場。 マンション側が施している足元の植栽、 景観形成への配慮を台無しにしている(神奈川県川崎市)
歩道部舗装のいたみ
せっかく整備したインターロッキング敷き歩道だが、 例の如く掘り返されて、 アスファルト補修のまま。 この状態でいつまで放置されるのだろう(静岡市)
神社参道のスロープ
素材的に違和感のある手すりのついたこのスロープは、 いったい何であろうか。 緩やかに登っていく参道の真ん中に設けられたスロープが、 境内地の雰囲気を景観的にも機能的にも台無しにしていることは間違いない(島根県松江市)
マンホール・会所の意匠
インターロッキング舗装の歩道面に、 素材感や意匠デザインの異なる各種のマンホール・会所が点在している。 あと一歩のふんばりが欲しい(東京都中央区)
カタログデザイン
江戸東京博物館前
ベンチを置くスペースがとれない場合、 このサポータータイプのファニチュアは重宝。 しかし、 このアルコーブなら、 きちんとベンチをデザインしたいもの(東京都墨田区)
ネットフェンスの道路柵
安全確保のためのネットフェンスだが、 カタログで選んだだけの機能一点張りのデザインで景観形成への配慮がない(北海道札幌市)
スケールアウト/色彩不良
真名井川橋
海辺の町に突然現れるピンクの橋。 こんな色の似合う場所も多くないが、 ごろんとした厚みのある形態も橋の規模からみるとオーバースケールに陥っているようだ(京都府宮津市)
新滝ノ池擁壁
阪和自動車道からはっきり見えるようデザインする、 というコンセプトのもとに、 擁壁の色彩に背景の山の緑とは補色関係にある赤色が採用されている。 余りにもひどい色合わせである(大阪府泉佐野市)
多摩川沿い道路での歩道整備
色彩の異なるインターロッキングにより川の流れをイメージさせるという意図らしいが、 どぎつい印象。 まわりに据えられた自然石も歩行の妨げになりそうで不自然である(神奈川県川崎市)
八潮中央公園
市民からのアイデア募集で実現したが、 デザイン方針を理解しがたいほどのアンバランスな彩色が施されている(埼玉県八潮市)
広がりのある公園内のランドマーク。 ランドマークは目立つ必要があるととしても、 このような原色を選ぶことはない(北海道室蘭市)
逆転
錦糸町駅前
「町の美化」を呼び掛けるモニュメントが薄汚れてしまって、 逆に町を醜くくしている(東京都墨田区)
市内の街路樹
街路樹は、 町にうるおい、 やすらぎを提供するものだが、 ここでは強剪定を行った結果として逆にみすぼらしい。 生物虐待のイメージすら与えるほどだ(北海道札幌市)
正雀川の修景された川底
コンクリート三面貼りの河川にうるおいを取り戻すべく、 川底を蛇行した水路と不定形の草地により修景。 だが、 上部の護岸や手すりは在来のままであり、 全体としては不自然で、 新たな混乱を生み出しているようだ(大阪府吹田市)
静内川河川敷
町の名を売り込むべく自然斜面に文字を浮き出させたもの。 数年前、 南の島でわざと珊瑚を傷つけたやらせ写真が話題になったが、 それに近い痛々しさを感じてしまう(北海道静内町)
河原町通り
歩行者と自転車を区分するライトポールだが、 このデザインは逆にそれらの通行を妨げているとしか思えない。 カラー舗装も補色関係の「赤と緑」で目を射る(京都市南区)
市民文化公園サンガーデン外構
歩道際を緑と大きな岩の並びによりデザインするというアイデアだが、 これが狭い歩道をさらに狭くしてしまっている(北海道苫小牧市)
ミスマッチ
葛西用水親水水路
住宅系の市街地につくられたなんだか仰々しい「憩いの広場」。 巨大な水車とメタリックな素材のゲートをふくめ、 形態・スケール感・材質感などからみて唐突であり、 周囲の環境からみて不調和である(東京都足立区)
スウェーデン橋
「スウェーデン橋」ということから、 バイキングの兜や民芸品らしい馬を親柱に乗せているのだが、 橋のもつ表情やスケールとのずれを感じてしまう。 国旗をもとにした配色もまわりから浮いてしまっている(北海道当別町)
JR近江高島駅前広場
山と水田と湖の美しい町。 その町の駅を降りると、 突如巨大なガリバーが…………。 あまりに唐突で、 アピールをあせる様子が感じられる。 この町にはこれしかないのか、 と読み取られかねない(滋賀県高島町)
ゲート風の街路灯
道路をまたいでゲート風につくられた街路灯。 道路整備に合わせて個性的なデザインを施したものと思われるが、 ごくふつうの住宅地のなかでは奇異でこっけいな印象を与えてしまう(兵庫県尼崎市)
大通り公園
花壇の枠になぜ野菜類を描き込むのかが理解しがたいこと、 また花の植え方にも違和感がある(北海道札幌市)
わからない
国道沿いの車止め
球状の車止めは奇異な印象。 祐徳稲荷神社の参道にあたることから、 キツネが口に銜えている玉を模したものというのだが……(佐賀県鹿島市)
四日市プロムナード
映画「カサブランカ」の1シーン(港の風景)をイメージにしたデザインだというが、 よくみても何のことかよくわからない(三重県四日市市)
入り江運動公園
街路灯先端のアンテナ状突起物は何だろう? 何のためのもの? 照明器具とのバランスもよくない(北海道室蘭市)
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学芸出版社『日本の都市環境デザイン 85〜95』
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