日本の都市環境デザイン

第2部 はじめに


デザインの過程への着目

 近年、 全国の都市において個性的なまちづくりへの多くの取り組みが見られる。 量を充足する時代から、 質を求める時代への変化の中、 より高い質を持つ都市空間を実現しようとする自治体などの意欲の表れと見られる。

 しかしながら、 このような都市環境をデザインしようとする取り組みは、 未だ歴史が浅いこともあり、 全てが成功しているとは思えない。 またそれ以前に、 都市環境をデザインし、 具体化していく過程が多くの人々には見えない。 すなわち、 都市環境デザインに関する事業実施プロセスは、 ブラックボックスの中にあり、 プロジェクトに関与した人々以外にはできあがりの姿が提示されるだけである。

 私たちは、 できあがりの姿である「デザインの成果」の他、 この過程である「デザインの方法」に着目し、 これを明らかにすることにより、 今後のよりよい都市環境デザインの実現に役にたつのではないかと考えた。 このような認識から、 「都市環境デザインの方法とその成果」と題して、 プロジェクトの性格ごとにその進められ方をトレースしてみる。

近年10年間の経済変化と都市環境デザイン

 この本は表題の通り「1985〜1995」の近年10年間の都市環境デザインの動向、 成果を取り扱っている。 この10年間の最初となる1985年から1987年頃までは、 安定成長と言っていた時代に変化が表れた時期である。 この頃から始まったバブル経済期及びその後は、 官公民ともに超好景気の下、 都市環境デザインに対しても、 大きな波が押し寄せ、 そして去っていった時期と認識される。 わが国の経済力が先進諸国と肩を並べた時期から、 現在までの10年間とも言え、 事業実施プロセスに関しても、 プロジェクトを動かしたこのような経済状況との関連を見ていく必要がある。

都市環境デザインの推進形態

 都市空間は、 自然物、 公共施設、 民間等による建物などから構成されており、 それぞれを整備する者は異なっている。 都市環境デザイン高度化のための整備事業は、 公共団体による「景観形成」のための公共施設整備や建築物の形態コントロールなどが第一にあげられ、 その他、 民間による自発的な取り組みも見られる。 このように、 都市空間を構成する事物が属している主体に着目し、 様々に展開しているプロジェクトをパターン分類しようとした場合、 以下がその切り口になるものと考えられる。

(1) 推進者による分類

(2) 対象物による分類

対象プロジェクトの抽出

 対象となるプロジェクトを推進形態と整備された物との対応で整理すると学芸出版社

学芸出版社『日本の都市環境デザイン 85〜95』

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