(社)都市計画学会 復興・防災問題研究特別委員会編著
安全と再生の都市づくり
阪神大震災を超えて
B5W判/352ページ/並製
定価 本体3800円+税
ISBN4-7615-3076-6
※本書は品切れです。増刷の予定はございません。
突きつけられた課題に総力をあげて応える。62人書き下ろし
95年6月、都市計画学会は長期的、全国的な視野から防災計画・システムと復興問題に取り組む防災・復興問題研究特別委員会を発足させた。
特別委員会は、「防災の観点から都市はどうあるべきか」「安全で住みやすい都市をつくるための計画支援と住民参加はどうあるべきか」「安全で住みやすい都市づくりを制度的にどのように支えるか」に取り組んできたが、本書はその3年半を超える研究・議論の成果である。その特徴は
阪神・淡路大震災に学びながらも、次の時代の安全と再生の都市づくりのあり方を提起している。
当面の復興問題を大きな課題として意識しながらも、全国の都市・地域の「災害に強い都市づくり・まちづくり」に貢献する事を意図した。
現状の調査・分析を踏まえつつも、これからの目指すべき視点、提案、提言に重きをおいた。
様々な立場、主張をもつ学会内外の方の参加を得てまとめた。議論を尽し理解を深めたが、なお意見が分かれる点については両論併記もふくめ率直な記述を目指した。
本書が全国の行政、コンサルタント、研究者などに役立ち、まちづくりの深化に役立つ事を願う。
特別委員会委員長 小林重敬
書 評
『都市問題』1999/7号
『建築とまちづくり』1999/4号
『建築と社会』1999/4号
目 次
1部 安全都市づくりを目指して
―防災都市計画・地域防災システムの今日的課題と方向―
1章 「防災都市計画・地域防災システム」の基本的考え方
1 「防災都市計画・地域防災システム」の意義
2 「防災都市計画・地域防災システム」の制度の動向
2章 「防災都市計画・地域防災システム」の今日的課題と方向性
1 都市の防災評価
災害の想定と防災マップ
山崎文雄
土地自然条件と都市開発
松田磐余
被害想定
熊谷良雄
危険度評価
熊谷良雄
被害調査と災害基礎研究
熊谷良雄
2 国土・広域・地域特性に対応した防災
国土と防災/首都機能移転
大西隆、鈴木徹
巨大都市圏と防災
中林一樹
広域交通網の整備と防災
内田敬
地方大都市と防災〈札幌から〉
小林英嗣
地方大都市と防災〈北九州から〉
日高圭一郎
地方都市と防災〈福井大震災の教訓〉
和泉潤
農山漁村地域と防災
岩田俊二
歴史的市街地と防災〈今井町から〉
小出和郎
3 都市基本計画、都市の骨格構造と防災
防災都市づくりの基本構想・計画
吉川仁
土地利用規制と防災
吉川仁
市街地の分節化/防火ブロック
糸井川栄一
都市計画道路と防災
熱海郁三
パークシステムと防災
石川幹子
オープンスペースと防災活動空間の確保
三船康道
ウォーターフロントと防災
吉川仁
4 市街地整備・防災まちづくり
防災生活圏(安心生活圏)の整備
鈴木隆雄
防災安全街区の形成
鈴木隆雄
不燃化/難燃化
糸井川栄一
木造密集市街地の整備
鈴木隆雄
住宅市街地の防災性能の向上と住環境
西田穣
老朽木造、既存耐火の混在市街地の更新への対応
西田穣
地区のオープンスペース・緑化と防災
田代順孝、斉藤庸平
コミュニティ施設と防災
西田穣
防災まちづくりのメニュー
中林一樹
5 都市環境・ライフライン・水利確保
1都市の環境問題と防災
中瀬勲
ライフライン(供給系、処理系)と防災
佐土原聡
都市防災における震災時の消防水利
高橋太
6 都市の地域防災システム
広域避難計画
西田幸夫
地域防災計画
中林一樹
地域防災組織
関沢愛
企業の危機管理と「企業防災士」の役割
渡辺実、村上大和
広域防災情報ネットワーク
高梨成子
GISと防災
角本繁
7 復興と防災都市計画
被災地の復興と安全安心都市づくり
室崎益輝
復興への事前準備と防災都市づくり
中林一樹
8 防災都市計画・システムの実現方策
計画策定プロセスと参加
吉川仁
防災都市づくりの実現手法
吉川仁
防災とまちづくりの啓発・学習
吉川仁
3章 いっそう安全な都市をつくるために「防災都市計画・地域防災システム」の視点
2部 コミュニティ自発の復興を目指して
―住民参加・計画支援の実態と提案―
1章 震災後4年の復興過程を踏まえて
1 住宅・市街地の復旧復興問題をどう捉えるか
高見沢邦郎、安藤元夫
2 まちづくり協議会の活動と課題
復興まちづくり協議会の実態から見た課題
後藤祐介
震災復興におけるまちづくり協議会制度とその課題
中井検裕
震災復興まちづくり協議会の実践と都市計画のパラダイム
森反章夫
3 都市計画決定の課題
復興都市計画決定の問題点
塩崎賢明
復興都市計画のあり方
内田雄造
4 計画支援の経験と課題
専門家の支援の全体像
高見沢邦郎
多方面の専門家による連携システムの形成とその成果
斎藤浩
参加のまちづくり専門家の育成
明石照久
復興まちづくりを支援する資金源について
山岡義典
2章 ケーススタディ:地区復興における参加と支援の実態を探る
1 真野地区の復興まちづくり
中村正明
2 野田北部地区のまちづくり
真野洋介、佐藤滋
3 六甲道駅南地区:“協働”の復興都市計画
平山洋介
4 3地区の比較に見る復興プロセスと計画支援
高見沢実
3章 提案:総合的地区再生への社会・制度の再編
1 基本的考え方〈被災者みずからによる総合的地区再生の基本を問う〉
林泰義
2 基本的仕組み〈コミュニティ自発の地区再生へ〉
連続復興
高見沢実
複線復興
平山洋介
地区を単位とした総合的まちづくり制度の創設
佐藤滋
現場での決定・後方支援の充実
小林郁雄
総合的社会的復興まちづくりの目標
小森星児
3 参加と連携の主体形成
まちづくり協議会のあり方
塩崎賢明
ボランタリー・コモンズとしての復興まちづくり協議会
森反章夫
専門家による復興支援
高見沢邦郎
非営利再建事業組織の確立
林泰義
地域再生支援のパートナーシップ
林泰義
4 復興まちづくりの計画と住民の関係
コンテスト・グラウンド
平山洋介
カウンタープラン方式の導入
児玉善郎
生活型復興と開発型復興をめぐって
広原盛明
5 復興まちづくり手法の多様化・総合化
「復興まちづくり協議地区」の創設
水口俊典
法定都市計画と住宅事業の総合化
安藤元夫
住宅事業主体・手法の多様化
間野博
6 平常時の蓄積の重視
継続的まちづくりによるCapacity-Building
宮西悠司
個の自律性・市民的共同性・行政的公共性
延藤安弘
予定の基盤施設等を計画として定める
濱田甚三郎
3部 新しい計画・事業制度を目指して
−25の提言
提言執筆グループ(高橋洋二、石川幹子、大方潤一郎、岸井隆幸、岸田比呂志、小泉秀樹、越澤明、水口俊典)作業グループ(北島繁昭、澤村明、中西久、濱田甚三郎)
1章 提言にあたっての基本認識と提言の構成
1 阪神・淡路大震災の教訓―計画・事業制度の側面から
2 提言の基本的な方向
3 提言の構成
2章 提言
提言1 都市の防災と復興を都市計画の基本的事項として位置づける
提言2 復興計画の体系を確立する
提言3 まちづくり協議会の位置づけを明確にする
提言4 緊急時の都市計画決定方式の多元化を図る
提言5 緊急時の都市計画決定手続きを創設する
提言6 自治体相互の広域連携による防災と復興の事前検討を進める
提言7 事前復興を重視した都市レベルの多元的な取組みを進める
提言8 都市の防災と復興に必要な用地確保の仕組みを構築する
提言9 仮設市街地づくりを念頭においた対応策を事前に検討する
提言10 被災前からの防災まちづくりと復興都市計画の連続性を確保する
提言11 国の財政支援の充実と、複数年度にわたる包括予算制度の導入を図る
提言12 復興自治体が自主的に調達できる復興財源の多様化・拡充を図る
提言13 復興事業において民間の資金とマンパワーの活用を図る
提言14 早期復興のために必要な用地先行買収に係わる税制特例措置を進める
提言15 住宅政策・産業政策と連動した都市復興を進める
提言16 住宅再建のための融資制度の拡充を図る
提言17 容積既存不適格マンション再建のための公的介入手法を制度化する
提言18 新たな土地区画整理手法の創設をはかるなど、土地区画整理事業の一層の拡充を図る
提言19 市街地再開発事業に多様性と柔軟性を導入する
提言20 面整備事業地区以外の復興を促進するため、制度の拡充・強化を図る
提言21 災害復興地区計画制度を創設する
提言22 応急時の一時的土地使用の必要に応えるため、時限的都市施設制度を創設する
提言23 街路、河川、公園・緑地を軸とした帯状空間を都市防災帯として位置づける
提言24 一団地の防災安全施設及び防災安全地区を都市計画で定める
提言25 土地の立体的な活用方策を計画・制度化する
3章 残された論点
貴方は
人目(99.01.15〜)の訪問者です。
学芸出版社/gakugei
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