■推薦の言葉+++++++++++++++++++++++++++++++++++++
◆伊藤 滋(早稲田大学教授)
私たちが住んでいる都市には実に数多くの解決すべき問題があり、また国際競争力の乏しくなったわが国を立て直していく鍵となるのが、都市再生である。都市再生は、何も大都市のみで行なわれるものではない。諸外国では地方の小さな都市が様々な個性を持って輝いており、わが国の地方都市でもそこに学ぶものは大きい。本書は、都市と交通をどのよう再生させ、整合化を図っていくかという点を解説したものである。ここには、まさに都市再生が始まろうとしている大都市のみならず、地方都市においてもこれから必要となる街の再生の処方箋がある。
◆森地 茂(東京大学教授)
本書は、「都市と交通の再生」に向けて、多様な側面から議論した研究会の成果である。交通が如何なる都市の形態や機能の変化あるいは課題をもたらしたかを論じ、同時に新たな社会経済状況の変化にも対応してなすべきことを提起している。特に欧米において中心的戦略となっているTIA(Traffic Impactassessment:交通影響評価)、TDM(Transportation Demand Management:交通需要管理)、TOD(Transit Oriented Development:公共交通指向型都市開発)に焦点を当て、海外と日本の考え方の差異、その導入の意義、課題を詳しく論じている。本書が、都市再生の鍵となる交通環境の抜本的改善について、総論賛成、各論反対のレベルにとどまっている市民意識の変革と、これらの概念の定着の契機となることを期待したい。
◆白石真澄(東洋大学助教授)
本著は「交通の視点から都市を再生する方策」を論じている。50年後、わが国は3人に1人が高齢者となる。高齢者の移動を保障する上では、歩行者や自転車、さらに車いす利用者を想定したコンパクトな生活空間をつくること、車に過度に依存するのではなく、公共交通機関の利用を促進することが重要だ。都市再生においても、「高齢化」という視点は不可欠だ。本著は交通の復権による新しい都市像を示唆するだけではなく、そこに盛り込まれた「シームレス化」、「バリアフリー」などの具体策は、超高齢社会の豊かな都市環境を創造する鍵となろう。
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学芸出版社
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