ガラスの建築学


書 評
『建設通信新聞』 2004. 4. 7
  ガラスやサッシの価格低下、開口部の大きな建築の流行などから、外壁にガラスを使った建築が、1980年代から増えてきている。その建築は明るい室内、季節によっては暖かく、快適な居住空間を生み出すが、半面、晴天時の明るすぎる室内、暑すぎる室内を生み出す。そのためガラス建築には、光環境や熱環境の調整がなくては成立しない。
  ガラスの製造・加工から説き起こし、構法、光と熱の制御と省エネルギー、断熱と結露、さらにはメンテナンスやリサイクル、関連法規、寸法規制に至るまで、ガラスとガラス建築が持つすべてを解説した。
  とくに、制御と省エネでは、太陽エネルギーの利用方法、窓まわりの熱的快適性と環境調和技術を、東京サンケイビルの実例を加えて紹介している。ガラス建築を設計するうえで、不可欠な一冊となろう。

『新建築』((株)新建築社)2004. 3
  1980年代より外装部にガラスを使用する建築が増えてきた。そうした建築は、室内の明るさや開放感を高めることに寄与する一方で、当然ながら熱環境やメンテナンスの問題などクリアすべき点も多い。本書は、日本建築学会環境工学委員会建築設備小委員会内の「ガラス建築WG」の研究活動を基にしたもので、ガラスの性能や建築材料としてのガラスのつくられ方、計画段階から設計・施工、竣工後の運用・維持管理までと、ガラス素材の魅力と現代技術の基本的知識を包括した、実用的な内容となっている。

(E)