プレイスメイキング・ハンドブック

プレイスメイキング・ハンドブック パブリックスペースを魅力的に変える方法
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内容紹介

誰もが実践できる第一人者の奥深いノウハウ

誰もがパブリックスペースを改善し、コミュニティの居場所を生み出せる「プレイスメイキング」。世界的に広がるこの手法の第一人者が導いた、実践的な11の原則、人々を巻き込む進め方や技術、場の調査・分析手法などを、豊富な事例と魅力的なカラー紙面により解説。成功するプレイスをつくるための、平易で奥深い必携書。


プロジェクト・フォー・パブリックスペース 著 泉山塁威、田村康一郎、一般社団法人ソトノバ 訳・解説 秋元友里、小仲久仁香、田邉優里子、原田爽一朗 訳
著者紹介

体裁A5判・192頁(オールカラー)
定価本体2700円+税
発行日2025-03-01
装丁見増勇介、鈴木茉弓(ym design)
ISBN9784761529208
GCODE5699
販売状況 予約受付中 (店頭発売:2025年2月27日頃)
ジャンル 公共空間/不動産活用・リノベーション
目次著者紹介まえがきレクチャー動画関連イベント関連ニュース

翻訳に寄せて──日本の読者の方々へ フレッド・ケント
訳者まえがき──プレイスメイキングとは何か 泉山塁威

序 リップ・ラプソン
はじめに キャシー・マデン、フレッド・ケント、スティーブ・デイヴィス

パートI なぜプレイスが重要なのか

パブリックスペースの重要な役割
プレイスを素晴らしいものにするのは何か?
パワーオブ10+──10か所以上の要素を掛け合わせる
パブリックスペースはなぜ失敗するのか
なぜ、よりよいパブリックスペースがないのか?

パートII プレイスメイキングの11の原則

1. コミュニティこそ専門家だ
【ケーススタディ】ピーチズ&グリーンズ(ミシガン州デトロイト)
2. デザインではなく、プレイスをつくる
【ケーススタディ】マーケットスクエア(ペンシルベニア州ピッツバーグ)
3. ひとりではできない
【ケーススタディ】パース・カルチャーセンター(パース、オーストラリア)
4. いつも「できない」と言う人々
【ケーススタディ】キャンパス・マーシャス・パーク(ミシガン州デトロイト)
5. 観察するだけで、たくさんのことが見えてくる
【ケーススタディ】ワシントンスクエア・パーク(ニューヨーク州ニューヨーク)
6. ビジョンを描こう
【ケーススタディ】ディスカバリーグリーン(テキサス州ヒューストン)
7. 形態は機能をサポートする
【ケーススタディ】サンダンススクエア・プラザ(テキサス州フォートワース)
8. トライアンギュレーションする ──異なる機能を近くに置く
【ケーススタディ】フリント・ファーマーズマーケット(ミシガン州フリント)
9. ささいなことから始めよう
【ケーススタディ】フォロ・リンドバーグ(メキシコシティ、メキシコ)
10. お金は問題ではない
【ケーススタディ】コングレススクエア・パーク(メイン州ポートランド)
11. プレイスメイキングに終わりはない
【ケーススタディ】ブライアントパーク(ニューヨーク州ニューヨーク)

パートIII プレイスメイキングのプロセス

1. プレイスの定義とステークホルダーの特定
2. 空間の評価と問題の特定
3. プレイス・ビジョン
4. 短期的な実験
5. 継続的な再評価と長期的な改善

パートIV ツール&テクニック

プレイス・ゲーム
パワーオブ10+ワーク
行動マッピング
カウント ──数値データの収集
トラッキング ──人々の動きの追跡
タイムラプス撮影
トレース(痕跡)の測定
インタビュー&アンケート
ポップアップ・エンゲージメント ──仮設による小さな参加

おわりに

解説① 日本でのプレイスメイキングの普及と実践に向けて 泉山塁威
解説② 地域と分野を超えて広がるプレイスメイキングの地平 田村康一郎

【著者】

プロジェクト・フォー・パブリックスペース(Project for Public Spaces)

アメリカ・ニューヨークを拠点とする非営利団体。プレイスメイキングの概念・プロセス・手法の普及に努め、人々がコミュニティの力でパブリックスペースを創造するための支援活動を行う。1975年にフレッド・ケント氏らによって立ち上げられ、ニューヨークのブライアントパークやデトロイト中心市街地などで、数々のパブリックスペースの再生や変革に大きな影響を与えてきた。HP:www.pps.org

【訳・解説】

泉山塁威(いずみやま・るい)

都市戦術家、日本大学理工学部建築学科准教授、一般社団法人ソトノバ共同代表理事。1984年北海道札幌市生まれ。博士(工学)。2015年明治大学大学院博士後期課程修了。上記所属ほかに一般社団法人エリアマネジメント・ラボ共同代表理事、PlacemakingX日本リーダー。専門は都市計画、都市デザイン、都市経営、エリアマネジメント、パブリックスペース、タクティカル・アーバニズム、プレイスメイキング、ウォーカブルシティなどの研究・教育・実践・情報発信。編著書に『パブリックスペース活用事典 図解 公共空間を使いこなすための制度とルール』『タクティカル・アーバニズム 小さなアクションから都市を大きく変える』『エリアマネジメント・ケースメソッド 官民連携による地域経営の教科書』(いずれも学芸出版社)など。HP:http://ruiizumiyama.jp/

田村康一郎(たむら・こういちろう)

一般社団法人ソトノバ共同代表理事、株式会社クオル・チーフディレクター、東京理科大学非常勤講師、PlacemakingX日本リーダーなど。1985年宮崎県生まれ。東京大学工学部卒業、同大学院新領域創成科学研究科修士課程修了。海外都市・交通計画コンサルタントを経て、プラットインスティテュート都市計画・環境大学院プレイスメイキング専攻修士課程修了。2020年より現職。共編著に『タクティカル・アーバニズム 小さなアクションから都市を大きく変える』(学芸出版社、2021)。

一般社団法人ソトノバ

2015年創設。2018年より一般社団法人となる。屋外・パブリックスペース系スタートアップ。ウェブメディアを中心に、ソトノバ・コミュニティ、ラボ、プロジェクト、スタジオなどの多様なプラットフォームを展開。近年では、屋外パブリックスペースに関わるビジョニング、社会実験、調査、エリアマネジメント、プレイスメイキングのプロジェクトも展開。メディア:https://sotonoba.place/ ソトノバ・コミュニティ:https://community.sotonoba.jp/

【訳】

秋元友里(あきもと・ゆり)

一般社団法人ソトノバ・ディレクター、ソトノバ・ライター、山十四造園 庭師、日本大学理工学部客員研究員。1996年神奈川県生まれ。東京都市大学都市生活学部卒業、同大学院環境情報学研究科修士課程修了。大学在学中にオーストラリア留学を経験。2022年よりソトノバにて、プレイスメイキングに関するプロジェクトの運営やコンサルティング業務に従事。

小仲久仁香(こなか・くにか)

ソトノバ・アソシエイツ。SOWER共同代表。1991年愛知県生まれ。関西学院大学総合政策学部卒業、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科東南アジア地域研究専攻(博士課程一貫)修士号取得退学。開発コンサルタントとして発展途上国における都市の計画策定、事業実施支援に関わり、その後独立。現在はインドネシアの居住地を中心にまちづくりの事業を企画・実施。

田邉優里子(たなべ・ゆりこ)

ニューヨーク、横浜の設計事務所を経て現在はプロジェクトマネージャーとしてグローバル企業の開発・建設プロジェクトに携わる。2019年からPlacemaking JAPANメンバーとして、Placemaking Week JAPANの企画運営やプレイス・ゲームの研究開発、海外連携に関わる。

原田爽一朗(はらだ・そういちろう)

建築家、一級建築士。2015年より隈研吾建築都市設計事務所、2024年よりBjarke Ingels Group New Yorkに勤務。国内、海外の様々な建築・都市デザインプロジェクトに携わる。2024年コロンビア大学大学院GSAPP都市計画プログラムを修了。

訳者まえがき──プレイスメイキングとは何か(泉山塁威)

プレイスメイキングは、近年、日本はもちろん、世界中で注目を集めています。
プレイスメイキングとは、簡単に言えば「コミュニティを中心にパブリックスペースを再考し、改革するために人々が一緒に集まって描く共通の理念」のことを指します。誰もが一緒に参加して公園や街路などのパブリックスペースをコミュニティの中心として創り上げることを目標とするものです。
人々が暮らし働くその場所への愛着を強め、そのコミュニティの強化と発展を継続的に支えること。加えて、そのパブリックスペースの利用を通して、心身の健康状態や暮らしの満足度を高めること。生き生きとした社会活動を実現するために、プレイスメイキングの手法は高い実効性を持っています(★1, 2)。
ただし、プレイスメイキングの定義は多様です。それは、プレイスメイキング自身が学術的な分野から発達したのではなく、むしろ地域の実践から生まれたという点と、「プレイスメイキングはこうだ」と定義づけしてしまうと、途端に型にはまったものになってしまいがちであるためです。人や地域それぞれのプレイスメイキングがあるという考えが強いと感じています。
それぞれの地域で、プレイスをどう定義し、目指す目標をどう設定するのかは、地域コミュニティに委ねられています。本書のプレイスメイキングの理念やツールはその手助けをしてくれるでしょう。
原著の紹介文では、本書は「地域住民から市長まで、成功する場所をつくるための使いやすい、市民感覚のガイド」とされています(★3)。
プロジェクト・フォー・パブリックスペースが2000年に発行し、2005年に邦訳された初版本の改訂版として、20年ぶりに日本に舞い降りた本書によって、日本のプレイスメイキングがさらに普及・進化することを願っています。

★1|Placemaking Japan「実はあなたの周りにもプレイスメイキング!? 世界のプロジェクト3選」(ソトノバウェブサイト、https://sotonoba.place/placemakingworld3)
★2|PlacemakingX「FAQ – Why Placemaking?」(https://www.placemakingx.org/faq#1)
★3|Project for Public Spaces「How to Turn a Place Around | Publications」(https://www.pps.org/product/how-to-turn-a-place-around-2)

メディア掲載情報

公開され次第、お伝えします。