[レポート]公衆サウナ&銭湯のあるまちのアイデアとユーモア|こばやしあやな × 森川真嗣 × 湊三次郎|2018.12.21

東京イベント(レポートはこちら)では、本書『公衆サウナの国フィンランド』3章の全6事例を総ざらいしながら(目次はこちら)、現代的な新しい価値を見つけることに焦点を絞って議論を進めました。京都回では打って変わって、“あるものをどう守っていくか”という視点で議論を深めてみました。会場は弊社3階に近日オープン予定の、タイルギャラリ―京都です。

東京回と同じ30名の方にお越しいただいた今回。お招きしたのは、大阪は淡路で「昭和湯」と「ゲストハウス木雲」を運営されている森川真嗣さんと、京都は五条で「サウナの梅湯」を再生させ今年11月に新たに滋賀・膳所にある「都湯」で地方都市での銭湯経営にも挑戦しはじめた湊三次郎さんです。

今回こばやしさんが紹介してくださったのは3章の「サウナ・アルラ」と「ソンパサウナ」の二つ。「サウナ・アルラ」は老舗サウナを存続させたいと代々のオーナーが代わる代わる受け継いできた集合住宅の一角にあるサウナ。現在のオーナーのアーティスト(元ロックミュージシャン)かつ元市議会議員というパンクなお人柄に惹かれて、たくさんのファンが集まるのだといいます。

「サウナ・アルラ」のオーナー、キンモ・へリストさん

そしてもうひとつ、「ソンパサウナ」は24時間365日年中無休、そして無料(!)の掘っ立て小屋サウナ。こちらは完全にローカル市民の自治で守られてきました。この2施設の魅力は本書に詳しいのですが、どちらも、何度も逆風にさらされてもなんとか立て直してきた、という関係者の気概によって存続しているプロセスが魅力的です。

こばやしあやなさん

今回のゲストも、まさにそんなお二人。森川真嗣さんは昭和3年創業の実家の銭湯をなんとか残したいとの思いで、銭湯入り放題のゲストハウスを2016年にオープン。昭和湯さんは、老若男女たくさんの人のために日々様々なイベントを企画されています。最近はパクチー風呂(!)なんかも人気なんだとか。

森川真嗣さん

 

淡路の商店街や地元に根付き、銭湯とゲストハウスを切り盛りされ様子を伝える「ここここ」さんのインタビューがこちら。
ここここ|森川真嗣さんインタビュー(前編)
ここここ|森川真嗣さんインタビュー(後編)

湊三次郎さんはわずか25歳で閉業間際の2015年にサウナの梅湯の経営を譲り受けます。大復活を果たし、今年の11月には滋賀・都湯の二軒目経営も開始。   新しい価値を生み出して常に挑戦を続けている湊さんの考えがよくわかる、アンテナさんのインタビューがこちら。

京都のカルチャーを発信するウェブマガジン アンテナ|サウナの梅湯

 

湊三次郎さん

お二人とも銭湯の経営者として、ここ数年ものすごいペースで数を減らしている銭湯をどう存続させていくか、集客や日常の運営、常連さんとの関係性に日々試行錯誤されている様子が印象的でした。ちなみに、参加者へのアンケートでは、なんと今回サウナ派ゼロという結果に(湯船派/どっちも派は半々でした)。参加者の皆さんの関心も、銭湯という価値がどう存続されるべきか、より多くの人に認知してもらえるのか、にあったように思います。

京都回の質問もとても多様でした。世代差や入浴料、飲酒のトラブルは…?などから(この辺りも本書にも詳しいです)、スーパー銭湯に行く? 入浴施設での両国のタトゥー事情は? 銭湯の福祉拠点としての可能性は? などなど…。どの回答も、フィンランド/日本どちらでも個人が私的に居合わせる場所であるからこそトラブルもあったりするものの、柔軟に価値観が変化している(寛容になっている)、あるいはしていくであろうことを示す回答ばかりだったのが印象的でした。例えば湊さんの梅湯2階にはタトゥーショップが入居していたり、森川さんは高齢者福祉拠点としての取り組みをはじめていたり。それぞれに試行錯誤の一面はありながらも、時代のニーズに合わせて臨機応変にスタイルを見定めて行かれている様子が、まだまだ銭湯の存在意義は更新され続けることを感じさせてくれました。

今回も東京回と同様、時間が足りずオーバー気味になってしまいましたが、終始なごやかなムードで終えることができました。余談ですが弊社書籍の刊行記念トーク、京都はだいたい弊社3階が会場になるのですが、懇親会の時間までゆったり取れるのがいつもいいなと思ってます。

笑いあり真剣トークありだった3人の鼎談

サインしつつサウナマップ解説中のこばやしさん

森川さん歓談中

弊社社長と湊さんの対面、なんとなく感慨深いです

会終了後、フィンランドのホテルサウナに挫折した方からは、かえって公衆サウナなら親近感を持てる、との感想もあり、嬉しい限り。

改めまして雨のなか、三連休前の金曜日にご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。登壇いただいた森川さんと湊さんも、お仕事の合間に駆けつけてくださって、ありがとうございました。昭和湯・サウナの梅湯・都湯、廃れるどころか日々すごい軽快に進化し続けるそれぞれの銭湯の今後にも、引き続き注目ください!どれくらい軽快かというと、

なんと早速、銭湯業界初の動画コンテンツ、ゆとなみテレビ(都湯&梅湯)さんの翌日回に本書が登場しております…!昨日の今日なのに(ハラノーマルさんありがとうございます)。

あと参加いただいた皆さん、ぜひ本書のご感想(図書券当たります♨)もぜひお聞かせください。

…以上、東京~京都と続いた刊行トーク、今週の2連続回は「フィンランド版銭湯」としての側面を深く掘り下げてきました。
ここで、続く来週の大阪回はがらっと趣向を変えて、「サウナ」ど真ん中のイベントになります!お迎えするのは、あるごの湯・常盤理さんです。

次回は日本のサウナカルチャーのど真ん中を常盤さんにたっぷり2時間教えてもらう回です。フィンランド・サウナとジャパン・サウナのあれこれを比較しながら、それぞれの楽しみ方を探っていきます。

申込みはこちらから
皆さんのご参加をお待ちしております!

関連書籍

『公衆サウナの国フィンランド ー街と人をあたためる、古くて新しいサードプレイス 』 こばやしあやな 著
http://bit.ly/2F5GujF

記事をシェアする

学芸出版社では正社員を募集しています
学芸出版社 正社員募集のお知らせ