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景観からのまちづくり・概説

1。景観まちづくりとは

 ここ数年、都市あるいは農村の景観形成施策が注目され、各都道府県、市町村においては景観条例を制定する自治体が増えてきた。

 景観形成の理念として、以前は「アメニティ」という言葉が使われ、「アメニティ」の中に景観が位置づけられ、「アメニティ」を実現する手段として景観があった。しかし「アメニティ」という言葉には様々な意味が含まれ、また「アメニティ」以外にも景観の目標が見出されたため、近年景観形成の目標はただ単に「アメニティ」の実現ではなく、その都市の「美しさ」、「分かりやすさ」、「親しみやすさ」、「個性(アイデンティ)」などをつくることになってきた。更に加えて、環境問題の観点からも景観が論じられるようになってきている。

 そして、そのような目標の実現のために、住民、企業等は都市景観が地域の共有財産であるとの認識にたち、住み良い町として良好な都市景観の形成に努めるということが、景観まちづくりの原点となっている。

 このような景観まちづくりは、都市の景観マスタープランのように骨格的なものから、住宅地のように面的な広がりを持ったもの、そして商店街のようにある一つの通りのような線的な町並み景観まであり、まちづくりの重要な要素になっている。

2。景観まちづくりの今後の方向性

 景観ブームのなかで、乗り遅れまいとして景観ガイドラインを作成した自治体もあるとはいえ、多くの自治体で景観ガイドラインやパンフレットが作成され、景観ガイドラインに象徴される景観まちづくりはある一定の段階まで到達しつつあるようである。

 しかし、景観ガイドラインができたからといって良好な都市景観の形成が約束されるものではない。例えば、今後は地域の性格づけなどを詳細に考慮した、景観マスタープランの作成が課題となる。

 また景観シミュレーションが景観形成のツールとして採用されてくると考えられる。そして更に、現在はまだ実施している自治体は少ないが、住民参加で景観形成を検討する場合、そのツールとしてコンピュータ・グラフィックスによる景観シミュレーションが使われることが期待されている。

 更に、現在行われている景観行政がどの程度効果があったか、また形成された景観はどの程度のものかなど、景観の評価が重要になると思われる。都市景観は長期的なスパンで形成されるが、ある一定期間毎にその実績に対する評価が必要となるであろう。現在は啓発、普及事業として景観賞などの顕彰制度があるが、良好な景観形成を目標としてそのような事業等の施策に対する評価も必要となるであろう。

 また特に歴史的市街地や、自然を中心とした良好な地域などでは、今後、景観の規制・誘導とは別に景観の管理が必要となると考えられる。

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