アルヴァ・アアルトのインテリア

小泉 隆 著

内容紹介

椅子、照明、ガラス器、テキスタイルの名作

上質な建築の真価は内部空間に現れる。北欧を代表する建築家アルヴァ・アアルトは、自ら設計した建築のインテリアの隅々まで使いやすさ、美しさを追求した。暮らしに対する鋭い感覚と研ぎ澄まされたデザイン力が結実した椅子、木製家具、照明、ガラス器、テキスタイルの120作品を、500点以上の写真、スケッチ、図面で紹介。

体 裁 A5・208頁・定価 本体3200円+税
ISBN 978-4-7615-3264-2
発行日 2020/11/01
装 丁 凌俊太郎(Satis-One)


紙面見本目次著者紹介まえがきあとがき関連イベント

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Introduction
アアルトのインテリアデザインを支えた思想と背景 ─親しみやすさと革新性の共存─

Total Design

パイミオのサナトリウム
サヴォイ・レストラン
マイレア邸
国民年金会館本館
ルイ・カレ邸
ハーバード大学図書館のポエトリールーム
米国国際教育研究所のカウフマン会議室

Exhibition and Promotion

最小限住宅展
ヨーロッパでの展覧会と評価の高まり
アルテック社の設立
パリ万国博覧会のフィンランド館
ニューヨーク万国博覧会のフィンランド館
フィンランド・ハウジングフェア

Chair

古典主義期の椅子
デザインの近代化の兆し
オット・コルホネンとの出会いとスタッカブルチェアの誕生
木材加工技術開発の出発点となったスチールパイプ製の椅子
フォーク・センナ
世界初の柔らかい木製椅子
トーネット社のコンペティション
肘掛けも一体化されたハイブリッドチェア
木製のキャンチレバーチェアの誕生
ループ状の木製フレームによるパイミオチェア
門型の木製サイドフレームによるアームチェア
マルセル・ブロイヤーとの相互関係
キャンチレバーチェアのヴァリエーション
L-レッグの誕生とスツール 60
「柱の妹」と呼ばれた椅子の脚
実験から生み出された木製のレリーフ
Y-レッグ
X-レッグ
アームチェアのヴァリエーション
国民年金会館本館のスパゲッティチェア
フィンランディア・ホールの椅子
V63 スツール
バルコニーチェア
ガーデンファニチャー

Other Wooden Furniture

機能主義への移行期の家具
曲げ木の加工技術を応用した家具
900/901 ティートローリー
トライアングルフレームの棚
100 パーテーション
H-レッグのテーブル
フィンランドが育んだ白樺の活用

Lamp

古典主義期の照明
機能主義期の照明
有機的なフォルムをまとったランプ
ポール・ヘニングセンからの影響
リング状のシェードで光源を包み込んだ照明
円筒形のペンダントランプ
球形のスポットライト

Glass Object

ボルゲブリック
リーヒマキ・フラワー
アアルトベース
マイヤ
1930年代のガラス皿
アアルトフラワー
誕生日プレゼントのラージベース
1950年代のガラス皿
イッタラ社と工場

Textile

特定の建築のためにデザインされたテキスタイル
アイノのテキスタイル
世界各地のテキスタイルへの関心
1950年代のテキスタイル

Store and Museum

アルテックストア
イッタラ社のミュージアム
アルヴァ・アアルト美術館

年譜

参考文献

あとがき

小泉隆

九州産業大学建築都市工学部住居・インテリア学科教授。博士(工学)。1964年神奈川県横須賀市生まれ。1987年東京理科大学工学部建築学科卒業、1989年同大学院修了。1989年東京理科大学助手、1998年T DESIGN STUDIO共同設立。1999年より九州産業大学工学部建築学科、2017年4月より現職。2006年度ヘルシンキ工科大学(現:アアルト大学)建築学科訪問研究員。2017年10月より日本フィンランドデザイン協会理事。
主な著書に『北欧の照明 デザイン&ライトスケープ』『アルヴァ・アールトの建築 エレメント&ディテール』『北欧の建築 エレメント&ディテール』(以上、学芸出版社)、『北欧のモダンチャーチ&チャペル 聖なる光と祈りの空間』(バナナブックス)、『フィンランド 光の旅 北欧建築探訪』『アルヴァル・アールト 光と建築』(以上、プチグラパブリッシング)など。

Introduction
アアルトのインテリアデザインを支えた思想と背景
─親しみやすさと革新性の共存─
小泉 隆

「人生は悲劇と喜劇の繰り返しからなる。私たちを取り囲む形態やデザインは、悲劇や喜劇とともにある音楽のようだ。家具、布地、色使い、そして部屋の構造は、そのような人生との対立を生まない、実直で幸せな感覚に満ちたものにすることができる。この点において、それらはきちんとした服装や生活に相当する。」1)

フィンランドが生んだ近代建築の巨匠アルヴァ・アアルトは、「建築家」としてだけでなく、インテリア、そして家具、照明、ガラス器、テキスタイルなどの「デザイナー」としても優れた功績を残している。建築の実作が少なかった第二次世界大戦前においては、建築家としてよりも、デザイナーとしての知名度の方が高かったと言われることもある。
そのデザインは、建築作品に通じるところも多く、ナチュラルで人間味にあふれ、自ずと日常生活に溶け込む「親しみやすさ」が大きな特質として挙げられるだろう。冒頭のアアルトの言葉には、そうした特質を生み出すアアルトのデザインに対する考え方が表れている。
加えて、アアルトの作品には、そうした「親しみやすさ」とともに「革新性」が共存、さらには調和している点が大きな特徴だと言えるだろう。それゆえ、彼の作品は、時を超えて世界中で広く愛されながら、その後の家具デザインやプロダクトデザインに大きな影響を及ぼすことになったのである。
以下では、そのような彼のデザインの根幹をなした思想や背景について、キーワードに即して紐解いていこう。

包括的な人間像
アアルトは、人間のための建築や生活との調和について語る際に、「小さな人間」「人生の悲劇や喜劇」「人間の過ち」「矛盾」といった表現を用いる。そこには、理性的な面だけでなく、弱さ、矛盾や過ちなども含めた多様な側面から人間を包括的に捉える彼の考え方が反映されているように思う。そんな彼が生み出す家具やプロダクトは、上品なエレガントさを湛えながらも心地のよいおおらかさがある。そして、生活感にあふれ、時に雑然としていても受け入れてくれるような大きな包容力が感じられる。こうした佇まいにはアアルトが捉えた包括的な人間像が映し出されているように思われる。

大きな機能主義
このような人間像をデザインの拠り所に据えたアアルトは、技術および経済の合理性を偏重し、機能性を追求する「狭義の機能主義」に対して、人間の心理や生理にまで踏み込んで「建築を人間的にする」デザイン=「大きな機能主義」2)を自身のテーマに掲げた。人間の目にまぶしさを与えないよう光の質を重視した照明のデザイン、あるいは、スチールという素材が持つ不快な冷たさといった性質を排除すべく木材加工技術の開発に注力した姿勢などに、この「大きな機能主義」の思想を垣間見ることができる。

遊び・実験・ユーモア
また、アアルトは、遊びや実験、ユーモアといった感覚が生活を豊かにするとして、その必要性を説いた。建築作品でそうした感覚が具現化された代表例としては、ムーラッツァロの実験住宅(1953年)を挙げることができる。一方、家具やプロダクトにおいては、曲げ木の実験や人の顔をモチーフにしたユニークなガラス皿などにその側面が表れている。

日常生活を美しく豊かにするデザイン
スウェーデンの美術史家であるグレゴール・パウルソンは、1919年に発表した著書において「日用品をより美しく」というスローガンを打ち立てた。このスローガンは、当時北欧に押し寄せていたモダニズムをそのまま受け入れるのではなく、日常生活を美しくするというコンセプトを持ちつつ近代化を進めるという北欧独特のデザインの基盤となった。色や形などの見た目の美しさだけでなく、日常の生活そのものを美しく、また豊かにしていくデザインの姿勢は、アアルトにも通底している。

自然との関わり
厳しい自然環境と隣り合わせで暮らす北欧の人々にとって、自然は到底太刀打ちできないものであると同時に大きな恩恵をもたらしてくれるものでもあり、対立・支配するものではなく共存するものとして捉えられている。
自然に関して、アアルト自身は「人間も含めた自然」という考えを持っていたようだ。3)「テキスタイルは、人々が室内に欲する自然、樹木、花、草などに代わるものの一つだ」4)と語るアアルトのテキスタイルには、波や植物、湖などの自然をデザインのモチーフにしたものが多い。また、アアルトベースに見られるフリーフォームの曲線は湖や島の形を象ったものだとも言われる。なお、そうした自然を愛でる姿勢については日本文化からの影響があることも彼自身が公言している。彼の自然観に共感していた妻アイノは、日本の桜をモチーフにした「キルシカンクッカ」というテキスタイルもデザインしている。
また、自然素材の使用にこだわったアアルトは、木を積極的に用いた。なかでも家具に多用したのが、フィンランドの国樹にもなっている白樺であった。白樺は高級感や重厚感のある材料ではないが、フィンランドの豊かな自然を象徴する樹種であり、素朴で親しみのある美しい素地を持つ。

技術革新への志向
1909年に林学の教師だった母方の祖父が他界した後、祖父が愛読していた『発明の本・あらゆる分野における産業芸術概論』という書籍が彼の手元に渡ったと言われる。発明の積み重ねが人間の暮らしを改善し、世の中を良くしていくことが記されたこの書に大きな影響を受けたアアルトは、晩年になってからもよくこの本を開いていたそうだ。5)そのような技術革新に対する思想は、1935年に設立したアルテック社で掲げられた「テクノロジーはアートによって洗練されたものになり、アートはテクノロジーによって機能的・実用的になる」という理念にもよく表れている。
アアルトの木製家具は、曲げ木の加工技術の開発なしには語れない。また、アアルトベースの複雑な形状は、彼の発明的なアイデアと職人との協同により実現された。このように技術革新とともに生み出されることの多いアアルトの諸作品では、技術と実用性の追求が美的側面を損なうどころか、美と一体的に編み出された技術に基づいて成立している点は特筆すべきだろう。

相反する要素の共存と調和
アアルトの多くの作品では、「親しみやすさ」と「革新性」のように、一見相反する対比的な要素がうまく共存・調和されている。「ナショナルとインターナショナルの概念は分離することができない」「これら両者の結合が現代に必要な調和ある結果を生み出すのである」6)と語ったアアルトは、「ナショナル」と「インターナショナル」の共存と調和を目指した。また、「工業化」と「手工芸」の共存と調和も、彼のデザインにおけるテーマの一つであった。
アルテック社の家具は、工場で機械も活用して合理的に生産されているが、多くの工程は今なお手作業で行われており、大量生産品でありながらも手工芸品の心地よさが感じられる。そして、その表現はインターナショナルな普遍性を持ちつつも、フィンランドらしさを十分に感じさせる。また、テキスタイルに見られる幾何学的なパターンは一つ一つが手書きで描かれており、それが機械で大量生産されている。そうした姿勢は、「技術や機械が本質的な文明と相容れないものだとは思わない。技術に人間性を与える方法が必ずあるはずだ」7)という彼の言葉にも表れているだろう。
時に矛盾や対立を孕む多様な条件を同時に解決する形を見出すこと=建築設計と位置づけたアアルト。人間生活に内包されている単純に二者択一できないような対比的な要素を、作品の中で共存させ調和させるところに、アアルトの大きな特質を見出すことができる。

モダニズムの受容と歴史への眼差し
アアルト(1898~1976年)は、近代建築運動を先導したバウハウスのヴァルター・グロピウス(1883~1969年)、ミース・ファン・デル・ローエ(1886~1969年)、ル・コルビュジエ(1887~1965年)らよりも若い世代にあたる。彼らが築き上げたモダニズムの洗礼を受け、その規範をもとに独自の形に昇華させたアアルトは、近代デザインを次のステップへと導いた点で大きな功績を残した。
一方、モダニズムのデザインが概して過去との断絶の上に築かれたのに対し、アアルトのデザインには、モダニズムを基盤にしながら古代ともリンクするような歴史への眼差しが感じられる。その一端は、L-レッグをはじめとする椅子の脚の一連のシリーズに対して、古代ギリシア・ローマ時代の柱のオーダーに照らし合わせて「柱の妹」という名前を与えたことにも表れている。

プロトタイプの創出
標準化・規格化が重要課題の一つに掲げられた近代化の初期には、ル・コルビュジエをはじめとして当時の建築家の多くが標準的な住宅のプロトタイプの創出に力を注いだ。アアルトも、少し遅れてではあるが木造住宅のプロトタイプの創出に取り組んだものの、その成果はそれほど芳しくはなかった。一方、家具に関しては数々のプロトタイプとそれをもとにした多様なヴァリエーションを生み出し、世界中に普及させて成功を収めた。
名作として世に知られる家具には、単体で完結したデザインが施されたものが大半を占める。対して、アアルトは、一つの型から多くのヴァリエーションを創出している点で異なり、大きな特徴とも言える。一方、アアルトと互いに影響を及ぼす関係にあったと思われるマルセル・ブロイヤーも同様の制作スタイルをとっており、その点ではアアルトに近い。
家具以外にも、アアルトベースでは、波を思わせるアアルト独自の形状を基本の型として大きさや形を変えて数多くの製品が生み出された。また、照明器具にもいくつかの型が見出せる。こうしたプロトタイプの存在は、アアルトのデザインを捉える上で見逃すことのできない重要な要素だと言えよう。

協同作業
アアルトの家具やプロダクトの諸作品には、協力者との協同作業をもとに生み出されたものも多い。アアルトには協同者を奮起させる独特の才能があり、誰もが喜んで協同し、誇りをもって作業が進められたという。
まずは日常的に数多くの作品を共にデザインし、アアルトの心の支えにもなった二人の妻、アイノとエリッサの貢献は大きいだろう。加えて、家具においては家具職人のオット・コルホネン、照明器具においては照明デザイナーのパーヴォ・テュネルとヴィリヨ・ヒルヴォネンとの協同が挙げられる。また、家具のアルテック社、ガラス器のイッタラ社などのメーカーや製作工場との良好な関係も上質な作品を生み出す上で重要であった。

幸福な社会の実現
近代化の波が世界を席巻した20世紀初頭、当時の建築家は、社会に変革をもたらす役割を担う者として新たな社会の形成に向けた創作活動を行い、自身の提案を世に問うた。
そのようななか、幸福な社会の実現への願望が人一倍強かったアアルトは、個人よりも公共の利益を優先していたと言われる。8)そして、専門家と一般の人々との間に生じている意識の乖離が良質な作品を生み出すことを阻害しているとして、一般の人々を啓蒙していく必要性にも言及している。9)
1930年代には、大量生産を視野に入れた低価格で高品質の家具・ガラス器・テキスタイルなどの作品を続々と生み出しつつ展覧会等に出展し、一般の人々の意識向上に向けた活動を積極的に行った。さらには、自身が設立したアルテック社では「家具の販売だけでなく、展示会や啓蒙活動によってモダニズム文化を促進すること」が目的の一つに掲げられ、その理念と活動は現在も引き継がれている。
加えて、アアルトは、フィンランド国内の主要都市の都市計画や公共建築の設計を数多く手がけることを通して、自国に大きく貢献した。また、先述した自国の白樺材の積極的な使用にも、国の産業を下支えしていこうという彼の想いが垣間見える。こうした数々の功績を残したアアルトは、かつてのマルッカ紙幣に肖像が描かれていたほどの国民的英雄であり、今なお国民から慕われ、尊敬を集めている。
晩年には「世界を救うことはできないが、模範を示すことはできる」10)という言葉をよく口にしていたと言われるアアルト。そんな彼のデザインには、幸福な社会の実現に向けた願いが込められており、常に人間が中心に据えられていた。建築に関して「真の建築は、その小さな人間が中心に立った所にだけ存在する」11)という象徴的な言葉を残している一方、インテリアについては次のような言葉を残している。

「標準化されたオブジェクトは、決して完成された製品ではなく、使用する人の個々の精神が加わってこそ完成されるものである。」12)

引用・参考文献
1)「より美しい住宅を」(ミュンヘンでの講演、1957年), ALVAR AALTO DESIGNER, Timo Keinanen, Pekka Korvenmaa, Kaarina Mikonranta, Asdis Olafsdottir, Alvar Aalto Foundation/Alvar Aalto Museum, 2002, p.13
2)「建築を人間的なものにする」(ザ・テクノロジー・レヴュー誌、1940年11月)、アルヴァー・アールト エッセイとスケッチ(新装版)、ヨーラン・シルツ(編)、吉崎恵子(訳)、鹿島出版会、2009、p.91
3)白い机 若い時 ─アルヴァ・アアルトの青年時代と芸術思想、ヨーラン・シルツ、田中雅美(訳)、田中智子(訳)、鹿島出版会、1989、p.199
4)Alvar Aalto: The Complete Catalogue of Architecture, Design & Art, Goran Schildt, Rizzoli, 1994, p.270
5)前掲書 3)、p.194
6)「ナショナル.インターナショナル」(アルキテヘティ誌、1967年)、前掲書 2)、p.204
7)ユヴァスキュラ高校100年祭でのスピーチ(1958年)、白い机 円熟期 ─アルヴァ・アアルトの栄光と憂うつ、ヨーラン・
シルツ、田中雅美(訳)、田中智子(訳)、鹿島出版会、1998、p.267
8)前掲書 3)、p.181
9)前掲書 3)、p.180
10)前掲書 7)、p.154
11)「記事に代えて」(アルキテヘティ誌、1958年)、前掲書 2)、p.196
12)「合理主義と人間」(1935年)、前掲書 1)、p.29

 

本書は、フィンランドが生んだ近代建築の巨匠アルヴァ・アアルトのインテリアに焦点を当て、彼が生み出した椅子・木製家具・照明・ガラス器・テキスタイルなどの諸作品を網羅してまとめた日本で初めての書籍である。

本書の主な情報源は、アルヴァ・アアルト財団所有の資料および財団が主となり刊行された書籍、アアルト家所有の資料、アアルト研究の第一人者であるヨーラン・シルツの書籍、そしてアルテック社やイッタラ社の所有資料や情報である。本書では、それらの情報源に基づき、単なるカタログ的な書籍ではなく、製品誕生の背景、デザインの特徴およびその製作過程などをできるだけ記し、研究者やデザイナーなどの専門家の方々にも読みごたえがあり、かつ一般の方にも興味を持っていただけるような書籍づくりを心がけた。なお、製品の細かなヴァリエーションや年代による違いなどのコレクター的な視点は重視していないことも付記しておきたい。
また、上記の資料に加えて、筆者自身が現地を訪れ撮影した写真や情報を多数掲載している。さらには、研究室で描き起こした図面、アアルトとマルセル・ブロイヤーとの相互関係に関する独自の研究成果も盛り込んだ。

なお、照明に関しては、前著『北欧の照明 デザイン&ライトスケープ』(学芸出版社、2019年)でより詳細に取り上げており、本書では製品化されたものを中心に記すにとどめている。その他の照明器具、照明計画と建築との関係などに興味がある方は、拙著をご覧いただきたい。

本書が出来上がるまでには、数多くの方々にご協力いただいた。紙面の都合により一部の方々のみになるが、ここで感謝の意を表したい。アルヴァ・アアルト財団のティモ・リエッコ(Timo Riekko)氏には、アーカイブ調査、情報・資料提供等に関して終始協力を得た。アルヴァ・アアルト美術館には所蔵物の撮影・掲載の許可をいただいた。アルテックの林アンニ様、平井尚子様には長期にわたり、またヘルシンキのアルテックストアの日下部麻希様には現地にて、大変お世話になった。アルテック 2nd Cycle では、所有品の撮影・掲載許可もいただいた。さらに、ヴィトラ デザイン ミュージアムには「アルヴァ・アアルトもうひとつの自然」展で撮影した写真の掲載許可をいただき、撮影には青森県立美術館の協力を得た。イッタラ社の製品に関しては、フィスカース社の小林クリスティーナ様、品川佳子様、石黒富美子様に取材、資料提供等でお世話になった。加えて、カイ・フランクの著書も出されているエブリーディレクションズ代表の小西亜希子様からは、フィンランドのガラスデザインについて色々とご教示いただいた。そして、アアルト研究者で多摩美術大学名誉教授の平山達先生には貴重な写真の提供と有益な助言を頂戴した。

本書が、読者の皆さんにとって、アアルトのインテリアに関する理解を深め、より愛着を持っていただくきっかけとなれば本望である。

2020年7月 小泉 隆

建築・都市・まちづくりの今がわかる
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