自治体の財政診断入門

鈴木文彦 著

内容紹介

経営の発想による財政分析なくして改革なし

黒字なのに破綻危機!? 市町村合併は成功だった? 小さな町の未来は?
企業と同じ「損益計算書」を作ってみれば、その答えが全部わかる!
自治体財務分析のプロが徹底解説。人口減少時代の行財政改革に向けた本格的な手引き。

この本を読むと・・・

  • 財務状況を網羅した「決算統計」の見るべきツボ
  • それを要約した「決算カード」の読み方と課題
  • 本邦初解説!「行政キャッシュフロー計算書」の活用法
  • 財政の実態を診断する検査値の種類とポイント
  • 診断結果を踏まえた収支改善の方策 ・・・がわかります。

体 裁 A5・208頁・定価 本体2500円+税
ISBN 978-4-7615-2799-0
発行日 2022-01-01
装 丁 中川未子(紙とえんぴつ舎)


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計14ページ公開中!(はじめに、1章)

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1741市区町村の「行政キャッシュフロー計算書」が簡単に抽出できるExcelファイルです。

➁資金運用表簡易計算シート

1741市区町村の「資金運用表」が簡単に抽出できるExcelファイルです。

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    学芸出版社編集部(担当:松本)
    info★gakugei-pub.jp(★を@にして送信ください)
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    自治体の財政を「債務償還可能年数」で判断するという考え方は一般的なのでしょうか?
    地方自治体にお金を貸す立場でもある財務省が、融資の安全性の確認のために行っている手法です。
    政令指定都市の財政を見るときに注意する点はありますか?
    例えば積立金でいえば、金額自体は大きくても財政規模から考えた金額としてはそれほど大きくない・・・・・・といったように、大きさと比率を注意して見極めましょう。また特定職の人件費の扱いなど、政令市特有の制度変更にも留意する必要があります。
    本書は貸借対照表を使わないのですか? ストック分析に対するフロー分析という理解でよいのでしょうか?
    行政キャッシュフロー計算書の投資・財務活動の部分はストック分析に属します。ストック(貸借対照表)の変化量を、資金運用表を使って分析しています。より詳しい回答は、こちらのレポートをご覧ください。

    本書でいう「損益計算書」は、財務省が開発した行政キャッシュフロー計算書の「行政収支」を指します。これは総務省が主導する公会計の資金収支計算書にある「業務活動収支」とはどのように異なるのでしょうか?
    詳しい回答を、こちらのレポートにまとめましたのでご覧ください。
    メディア掲載情報
    その他のお知らせ
    編集部より

    『自治体の財政診断入門』付録の「行政キャッシュフロー計算書 簡易計算シート」「資金運用表 簡易計算シート」(市区町村編・都道府県編)を2022年度データ反映バージョンにアップデートしました

    編集部より

    『自治体の財政診断入門』付録の「行政キャッシュフロー計算書 簡易計算シート」「資金運用表 簡易計算シート」を2021年度データ反映バージョンにアップデートしました

    編集部より

    木下斉さん主催「狂犬ブックセミナー」 『自治体の財政診断入門』をテキストにした第1回目の動画学習コンテンツが有料公開されています

    編集部より 試し読み更新情報

    試し読み公開!『ワーケーション企画入門 選ばれる地域になるための受け入れノウハウ』『自治体の財政診断入門』

    編集部より

    『自治体の財政診断入門』読者限定特典データに「資金運用表 簡易計算シート」を追加しました

    編集部より

    自治体の損益計算書は“平和の道具”!?――『自治体の財政診断入門』著者・鈴木文彦さんインタビュー

    第1章 地方財政の現状と既存指標の課題

    1.将来に不安を抱える地方財政
    ●自治体の借入金をめぐる近年の動向
    2.コロナ禍で様変わりした地方財政
    ●コロナ禍以前からの課題とコロナ禍による課題

    第2章 知っておきたい自治体財務分析の基本

    1.事業部制でつかむ自治体財政の全体像
    (1)財政視点で把握する自治体の組織体系
    (2)地方公共団体における会計の種類
    (3)地方公共団体の外側にある事業体
    (4)普通会計と各事業体とのつながり
    2.地方財政の状況がわかる決算カードの読み方
    (1)自治体の財務状況が要約された「決算カード」
    (2)歳入の読み方
    (3)性質別歳出の読み方
    (4)目的別歳出の読み方
    (5)収支の読み方
    (6)積立金に関する分析指標の読み方
    (7)地方債に関する分析指標の読み方
    3.決算カードによる分析の課題

    第3章 損益計算書による財政診断

    1.“貸し手”目線で状況を把握する
    (1)財政の持続可能性を診断する「行政キャッシュフロー計算書」
    (2)自治体版・損益計算書の作り方
    (3)財務省による地方自治体の財務診断
    2.キャッシュフロー分析指標で問題を診断する
    (1)健全性を診断する4つの「検査値」
    (2)自治体が罹る3つの病気――借り過ぎ、赤字、金欠病
    3. 財政悪化の原因を特定する
    (1)一過性の異常かどうかを見極める「計数補正」
    (2)借入過多の診断例
    (3)収支悪化の診断例
    (4)「子会社」への赤字補てんの識別
    4. 悪化の兆候をみつける意義
    (1)黒字倒産の危機はなぜ起こったか
    (2)バッファが薄い団体ほど危機に直結する収支の悪化

    第4章 損益計算書でわかる地方財政の実態

    1. 福祉費で圧迫される自治体財政
    (1)ストック良好だがフローは悪化
    (2)公共事業による90年代の財政悪化
    (3)自治体の積立金は潤沢なのか
    2. 都道府県の台所事情
    (1)建設事業がもたらした過剰債務
    (2)積立基金の増加以上に膨らむ借入金
    3. 実は資金繰りが厳しい政令指定都市
    (1)規模の割には大きくない「内部留保」
    (2)財務状況クロス図からみた政令指定都市の財政
    4. 補助金への依存度は高いが健全な小規模自治体
    (1)自治体の規模と財政健全性の高さの関係
    (2)割高になる住民1人当たりの行政コスト
    (3)財政補填・担い手・サービスの持続可能性
    5. 平成の大合併の効果はあったのか
    (1)合併団体のほうが多い借入と支出
    (2)旧構成団体が多いほど高い総務費の減少率
    (3)合併団体の財務分析にあたっての留意点

    第5章 損益計算書を踏まえた財政改善の視点

    1. 経営改善計画の考え方
    (1)目標を立てる―財政改善目標の立て方
    (2)収支見込み表を作る
    (3)財政改善策を講じる
    2. 将来ビジョンに基づく収入の見極めと支出の順位づけ
    (1)順位づけの基準としての将来ビジョン
    (2)人件費削減の落とし穴
    (3)業務仕分けの方法
    (4)公共施設の再検討
    3. 地域経済活性化と財政改善
    (1)地域所得と地方税
    (2)経済の自立度と地方財政の自立度

    鈴木文彦

    大和総研金融調査部主任研究員
    1993年立命館大学卒、七十七銀行入行。2004年財務省出向(東北財務局上席専門調査員)を経て2008年から大和総研。中小企業診断士、FP1級技能士。日経グローカル「自治体財政 改善のヒント」、財務省広報誌ファイナンス「路線価でひもとく街の歴史」連載中。他執筆多数。共著に『地銀の次世代ビジネスモデル』(日経BP社、2020年)。

    この度は拙著をお手に取っていただきありがとうございます。本書は従来ありそうでなかった自治体財政の入門書です。この本を読むと次のことがわかります。

    • 状況が網羅された「決算統計」の見るべきポイント
    • 要約された「決算カード」を読みとくコツ
    • 「行政キャッシュフロー計算書」の活用方法
    • 見逃しがちな「黒字倒産」の兆候の捉え方

    特に「行政キャッシュフロー計算書」を体系的に解説したのは本書が初めてです。銀行は貸し手の立場から融資先の財政状態を検証します。このとき使う財務書類の1つに損益計算書がありますが、返済能力を重視する銀行は、様々な解釈を伴った損益計算書を現金ベースに引き直します。真の「稼ぐ力」を検証するためです。この自治体版が「行政キャッシュフロー計算書」です。副題の通り「損益計算書を作れば稼ぐ力がわかる」のです。

    本書のコンセプトは自治体の財政診断です。稼ぐ力の実体は資金繰りですが、転じて「持続可能性」を意味します。自治体の財務内容から資金繰り破たんの兆候を見極めるのが財政診断です。本文で説明しますが財政診断において病名は借り過ぎ、赤字、金欠病の3つです。これを4つの検査値で診断します。

    資金繰りベースの財政診断が役に立つのは、従来指標で見逃しがちな「黒字倒産」の兆しを捉えることができるからです。経常収支比率や将来負担比率で問題なしとされた自治体が財政非常事態を宣言するに至った事例をもとに、企業分析の手法で見える財政危機の兆候について解説します。

    地方財政の論点は他にもあります。関心が高いところでは「平成の大合併」。効果はあったのでしょうか。公立病院、第三セクターの経営問題から公共インフラの老朽化まで、自治体をとりまく様々な問題について企業分析の方法で明らかにします。

    そして言うまでもなく財政診断は改善と表裏一体です。診断を通じて特定された財政問題と整合する確かな改善策を講じる必要があります。改善の土台となるのが経営の発想です。「あれもこれも」ではなく、予算制約を踏まえ「あれかこれか」で施策を選択することです。将来ビジョンが判断基準として意味を持ちます。本書では経営の発想に基づく改善計画の策定法を解説します。実際に使える改善施策も多数紹介します。

    さて本書のもう1つの柱が自治体財政の基本の理解です。題材として自治体財政を1枚紙に要約した「決算カード」を使います。実質収支はじめ決算収支の意味から、性質別・目的別区分の見方まで、分析事例を交えつつ地方財政の基本的な理解を目指します。

    特に力を入れたのは、決算カードの元になる「地方財政状況調査表」いわゆる決算統計の解説です。決算カードはコンパクトですが省略された行間が多いのが難点です。本書では経常収支比率に焦点を当て、これが決算カード上でどのような経路をたどって作られているのかを丁寧に検証します。

    決算カード、行政キャッシュフロー計算書のいずれにせよ分析を進めると決算統計の数字の森を踏み分けることになります。一般に公表されている自治体財政のデータ集としては決算統計が最も詳細です。決算統計に着眼した財政本としても本書はお読みいただけます。

    扱う財務書類と同様、入門編から応用まで幅広いのが本書の特長です。地方財政に興味のある方々から自治体の実務家、コンサルタントから研究者まで幅広い方々にお読みいただくことを期待しています。

    最後まで本書をお読みいただき誠にありがとうございます。

    言い残したことが1つあります。自治体の損益計算書、「行政キャッシュフロー計算書」が「平和の道具」であることです。

    そもそも会計の目的の1つに利害対立の調整があります。経営者、従業員、株主から債権者まで様々な利害関係者がむやみに対立することなく解決策を見出すことが会計の存在意義の1つです。

    自治体にも同じことがいえます。公立病院の存続、小中学校の統廃合、文化活動の存続など様々な論点を巡って市当局と住民あるいは住民どうしが意見対立する場面が散見されます。自治体財政を企業分析と同じように診断するのは、財政の持続可能性にかかる理解を共有し、建設的な議論をするためでもあるのです。

    読者特典として1,741市町村の行政キャッシュフロー計算書のExcelシートを付けました。みなさまの住む地域の財政をぜひ診断してみてください。そこで明らかになった財政問題を自分事として捉えていただければ幸いです。学校の統廃合など身近な問題も見え方が違ってくるでしょう。

    本書は大和総研レポート『自治体の「損益計算書」で稼ぐ力をみる』を学芸出版社の松本優真さまに見つけていただいたことが執筆のきっかけです。企画から執筆まで伴走いただき心より感謝申し上げます。編集部のみなさま、診断のコンセプトが一目でわかる表紙を拵えていただいた装丁ご担当さま、膨大な図表を作図していただいたDTPご担当者さまにも御礼申し上げます。本書で事例を扱うにあたっては関係自治体、東北財務局のみなさまに資料提供いただきました。ありがとうございました。

    2021年12月吉日 鈴木文彦

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