建築構造力学


安達 洋・丸田榮藏 編

内容紹介

建築物の「力の伝わり方」がスイスイわかる

講義に沿った15章構成で初めの一歩から建築士試験まで導く〈わかる建築学〉シリーズの第4巻。構造分野に苦手意識を持つ人でも、豊富な図による説明と、各章末の練習問題、第15章の演習問題での理解確認を通して、基本と発展的内容が身に付くよう配慮した。建築物における力の伝わり方がスイスイわかる、初学者必携の一冊。

体 裁 B5変・192頁・定価 本体2800円+税
ISBN 978-4-7615-2468-5
発行日 2009-09-10
装 丁 KOTO DESIGN Inc.

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目次著者紹介まえがき巻末演習問題の解答

まえがき

第1章 力

1・1 建築で扱う力と性質
1・2 力の3要素
1・3 モーメント
1・4 偶力と偶力モーメント
1・5 力の合成と示力図
1・6 力の分解
1・7 平行な2力の合成と分解
1・8 力の釣合条件

第2章 構造骨組と支点反力

2・1 支点と節点
2・2 構造物の力学モデル
2・3 構造骨組の安定性
2・4 支点反力の算定

第3章 断面力(内力)の算定

3・1 断面力の概念
3・2 切断法で断面力を求める
3・3 断面力M,Q,N図を求める
3・4 断面力の符号
3・5 断面力と変形

第4章 静定梁の断面力

4・1 断面力の算定手順
4・2 片持梁の断面力
4・3 単純支持梁(単純梁)の断面力

第5章 静定ラーメン構造の断面力

5・1 解法の基本的考え方
5・2 片持ラーメン
5・3 単純支持ラーメン
5・4 3ピン構造

第6章 トラス構造

6・1 トラスの性質
6・2 節点法によるトラス解法
6・3 Ritterの切断法

第7章 断面の性質と応力度

7・1 応力度とひずみ
7・2 断面の性質
7・3 梁内の応力

第8章 静定骨組の変形と部材の座屈

8・1 静定骨組の変形
8・2 長柱の弾性曲げ座屈荷重

第9章 不静定構造を解く1―応力法

9・1 応力法の基本的考え方
9・2 応力法入門
9・3 応力法の手順
9・4 不静定梁を応力法で解く
9・5 不静定ラーメンを応力法で解く
9・6 高次不静定構造の場合
9・7 不静定トラスを解く

第10章 不静定構造を解く2―撓角法

10・1 撓角法の基本的考え方
10・2 撓角法の基本式の誘導
10・3 部材端片側がピンの場合の基本式
10・4 釣合条件の必要性
10・5 撓角法を用いて不静定構造を解く
10・6 撓角法の応用―層間変形角・層剛性

第11章 不静定構造を解く3―固定モーメント法

11・1 固定モーメント法の基本的考え方
11・2 固定モーメント法によるラーメン解法
11・3 表を用いた解法
11・4 中間節点が2つ以上ある架構

第12章 構造設計入門

12・1 単純梁を設計する
12・2 許容応力度の考え方
12・3 各種材料の許容応力度
12・4 許容応力度設計法の概略

第13章 構造物の保有耐力

13・1 弾塑性体の性質
13・2 部材断面の性質
13・3 崩壊機構と崩壊荷重
13・4 骨組の保有水平耐力

第14章 建築物の振動力学

14・1 建築物の振動系モデル
14・2 非減衰自由振動
14・3 減衰自由振動
14・4 調和外力に対する応答
14・5 調和地動に対する定常応答
14・6 地震応答スペクトル

章末練習問題解答
索引

編者

安達 洋(あだち ひろみ)

1943年新潟県長岡市生まれ.1966年日本大学理工学部建築学科卒業.1968年同大学院理工学研究科修士課程修了.1971年同大学院理工学研究科博士課程単位取得退学.1971年日本大学理工学部助手.1980年同理工学部専任講師.1982年工学博士学位取得.1983年日本大学理工学部助教授.1988年同教授.著者:『動的外乱に対する設計―現状と展望』(共著,日本建築学会,1999年),『耐震構造の設計―学びやすい構造設計』(共著,日本建築学会関東支部,2003年)

丸田榮藏(まるた えいぞう)

1943年石川県七尾市生まれ.1967年日本大学理工学部建築学科卒業.1969年同大学院理工学研究科修士課程修了.1969年日本大学生産工学部副手.1972年同助手.1976年専任講師.1984年工学博士学位取得.1984年日本大学生産工学部助教授.1990年同教授.著書:『住宅の耐風設計施工点検指針』(共著,日本建築センター,1993年),『建築物荷重指針・同解説』(共著,日本建築学会,1975年,1993年)

著者

岡田 章(おかだ あきら)

1954年徳島県徳島市生まれ.1977年日本大学理工学部建築学科卒業.1979年同大学院博士前期課程修了.1982年同研究科博士後期課程単位取得退学.1982年㈱竹中工務店入社,技術研究所,東京ドーム作業所.1990年日本大学理工学部建築学科助手.1999年博士(工学).2000年同専任講師.2004年同助教授.2007年同教授.著書:『木による空間構造へのアプローチ』(共著,建築技術,1990年)

神田 亮(かんだ まこと)

1959年東京都立川市生まれ.1983年日本大学理工学部海洋建築工学科卒業.1985年同大学院理工学研究科博士前期課程修了.1988年日本大学生産工学部副手.1989年同助手.1997年同専任講師.2001年同助教授.著書:『免震・制振構造の設計―学びやすい構造設計』(共著,日本建築学会関東支部,2007年)

北嶋圭二(きたじま けいじ)

1963年東京都港区生まれ.1986年日本大学理工学部海洋建築工学科卒業.1986年㈱青木建設入社.1994年日本大学大学院理工学研究科博士課程修了,博士(工学).2001年㈱青木建設技術研究所建築研究室長.2007年青木あすなろ建設㈱技術研究所副所長.著書:『耐震構造の設計―学びやすい構造設計』(共著,日本建築学会関東支部,2003年),『パッシブ制御振動構造 設計・施工マニュアル』(共著,日本免震構造協会,2005年),『免震・制振構造の設計―学びやすい構造設計』(共著,日本建築学会関東支部,2007年)

田嶋和樹(たじま かずき)

1977年東京都台東区生まれ.1999年日本大学理工学部建築学科卒業.2001年同大学院理工学研究科博士前期課程修了.2004年同大学院理工学研究科博士後期課程修了,博士(工学),同理工学建築学科助手.2008年同理工学部建築学科助教.

建築物は,柱を立てて梁を架け,小屋組を造り,屋根を葺き,そして壁で覆い,生活空間を築いたものである.この建築物は,時として地震,台風,豪雪などに曝されるが,構造的に安全に設計されていなければならない.もちろん建築設計業務には,意匠設計,環境・設備設計にあわせて建築物の安全を確保するための構造設計がある.構造設計は,外力によって部材や接合部において大きな変形や破断が生じないよう安全を確保することであり,構造力学はそのための力の大きさを決める手段である.昨今の建築作品には,トラス構造,サスペンション構造,膜構造などの構造形式をデザイン表現した建築物が多く出現している.バランスのとれた建築は美しいとよく言われる.バランスは建築物内を流れる力の伝わり方そのものである.力の伝わり方を学ぶことそれ自体が構造力学の勉強であるかもしれない.

これまで,建築を学ぶ学生にとって,構造力学は建築学の中でも苦手のジャンルとして捉えられ,とくにデザイン志向の強い人の中にはその必要性をも疑う人たちが多くいるのも事実である.苦手意識をもつ学生には,数学や物理が苦手だから構造力学はもっと難しいのではという先入観や,単なる力学の勉強に終始し理解の達成度が見えにくいなど,さまざまな要因を含んでいると思われる.苦手を克服するには,理解しようとする努力はもちろんのことであるが,たとえば学習に躓いた時の一助が教科書に記述してある,読み返せば不明な点や問題を解決してくれる,さらに力学が好きになるための工夫があればと考えている.

本書は,構造力学の初学者を対象としている.しかし,これまで力学を学んだ人でも理解に苦しんだことを解決するための手助けとなるよう配慮している.また,建築士試験の構造科目の内容を理解できる基礎能力が身につくよう,一般的な構造力学のほかに材料力学,保有耐力,振動応答の問題にまで,基本事項について学習できるよう配慮している.また,本書での構造力学の学習は高度な数学を必要としない範囲としており,高等学校において学んだ初歩的な三角関数,微分法や積分法を理解していれば十分であろう.この範囲外の数学については付録に記載し平易に解説している.

本書の構成は,15章だてとなっている.各章の末尾に理解度を高めるため豊富な練習問題を設けているので,有効に活用いただければ幸いである.

執筆者一同

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