都市・農村の新しい土地利用戦


書評

『地方自治職員研修』(公職研) 2003.5

 まちづくりが「まち」をつくるものだとしても、では「誰が」つくるのか。本書はまちづくりの主体、「あなた」そして「私たち」のために書かれたテキストであり、市民、担当自治体職員、まちづくりプランナー、企業マンとして、まちづくりをいかに捉え、いかに取り組んでいくかを明らかにしていく。様々な視点からまちを見て、知って、どういうまちをどのようにつくっていくのか。「まちをつくる力」をつくる、まちをつくる人になるための充実した一冊。


『全国農業新聞』(全国農業会議所)
 2003.5.30

 著者は複数の自治体で職員としてまちづくりに携わってきた専門家である。その経験を生かして、市区町村という地域自治体が「まちづくり」の主体をどのように束ね協働し、またそこに住む人々(私たち)が何をしていったらよいのかをまとめた。
 「自治体まちづくりの課題」の項で著者は「土地の利用を公的に進めることが難しかった」ことを指摘。まちづくりの関連法規がほかの税制、法制と十分に連携・連動せず、「私有財産としての土地の利用はまったく自由」という気風の横行が、向こう三軒両隣で地域環境を大切に守っていこうという意欲や、コミュニティーの暗黙の了解、連帯感を断ち切ったとする。
 「まち」は誰がつくるのか? まちづくりは人づくりとよく言われるが、「『人づくり』より『人になる』こと」。「まちづくりを行う人になってしまおう!」と呼び掛ける。