目次

プロローグ 「農」からの発想

百姓のデザイン/都市と農村はともにハーフ・ソサイエティ/菜園との共存を絶った現代都市/文化論からの「農」の風景・「農」の景観/原風景としての「農」の風景/現代人には多様な「農」関係が必要/「農」を生かしたまちづくり/建築・土木・造園の視点の総合化/「農」のある環境のすばらしさ、チェックポイント

第一部 都市の再生

1 対談 農景観の回復から超高層スカイラインのランドスケープまで―伊藤滋+進士五十八
東京には心を打たれる公園がない/地形や大地を意識してつくられた日本の公園/日本中の「野立て看板」に問題提起を/拝金経済が農村の美意識を衰退させた/農業土木の予算で農村景観の再生を/生態系の通った公園とフレームのなかの公園/高層の擬似富士山と筑波山を原点にした東京計画/東京スカイライン・マスタープラン/「東京ビジョン七人衆」の提案

2 都市の生命は「みどり」と「農」
「みどり」の多義性とその機能/都市の「みどり」の所要量とシステムづくり
都市農地の保全とクラインガルテン

3 ダイバーシティ・ランドスケープ 生物と人間の多様性のための環境計画
生物人間にとっての環境空間/多孔質・系・多様性のデザイン/開発へのモラル・「スローなまちづくり」を

4 東京のエコ・シティ化、その可能性
「環境共生都市」への展開/都市の「自然環境復元」/水と緑で東京の「エコ・シティ」化

5 日本型オープンスペース計画論 水とみどりの点描画式ネットワーク形成の方策提案
諦めよう、欧米型都市モデル/印象派絵画の点描画式緑のまちづくり手法
各種施策、各主体を総動員して創る「ぼかし型緑ネットワーク」

6 都市公園から公園都市へ
建設の時代から参加の時代へ/幅広い教養が公園を「空間」から「場所」にする/公園は自由な都市施設、多様な使い方を進めよ/公園はまちづくりの拠点になる/市民参加時代の公園像と究極の目標

7 都市再生へ「農」の役割
「農村」の都市化から、都市の「農村化」へ/都市と環境、再生の切り札は「農」
2020年都市のアグリ・スタイル

第二部 ふるさと再生

8 生きている樹木と郷土景観
明治神宮の森の設計/生きられる景観/生きている樹木と郷土景観

9 郷土景観と郷土設計論からの地域づくり
表層ばかりで本質を見ない地域づくり/ふるさと景観を求める人々の心/世界化・広域化のなかでの地域色の重要性/郷土景観の構造と構成/郷土設計、ルーラル・ランドスケープ・デザインのすすめ

10 対談 なぜ里づくりか―齊木崇人+進士五十八
都市と農村が一体化した法律が必要/神戸市の里づくり計画/最大の問題は農業振興/農民は劣等感につぶされた/日本人を二つに分割した線引き制度/地域外の人々の参加/必要なリーダーシップ/農村の自立性が都市を救った

第三部 「農」と日本の再生

11 「農」の多面的機能へ―市民からのアプローチ
「農」への期待と「農業」での現実/多面的価値を享受するには「心」で/「農」にアプローチ、ニューライフスタイルを

12 農村ランドスケープのための基礎
「農」の景観力と教育力/「農」の多面的機能に注目した農業基本法改正/注目された農村の存在価値/市場経済との整合性をどうとるか

13 山村地域の多面的意味と風景づくり
総合的理解の重要性/都市から見た山村地域の多面的意味/風景の力・山村の可能性

14 多自然居住時代の農山村 「森林浴」から「風景浴」へ、美しい山村をつくろう
大都市否定の潮流/21世紀は多自然居住/グリーンツーリズムと美村
多選択が可能な国土イメージ・これからの都市と農山漁村の関係

15 「田舎」観光の意義と魅力
軽薄社会が求めるホンモノの体験と感動/田園景観の多面的魅力

エピローグ 都市生活者のファーミング―アグリ・スタイルの確立
ガーデニングからファーミングへ/本物のレクリエーション、「食」と「農」を体験/環境福祉とアグリカルチュラル・セラピー/ドイツのクラインガルテン生活/TAMAらいふ21・ファーマーズセンター/川崎市の片平楽農倶楽部/東京「農」の風景・景観コンテスト/全国民総第五種兼業農家へ