街が動いた


あとがき

 率直に言ってまちづくりは誤解されている。例えば商店主が主体となっていると商店街の活性化事業だと矮小化されて受け止められるし、地域の自立という極めて今日的な普遍性を内包しているにもかかわらずローカルの出来事だと過小評価される。原因の多くは価値判断の物差しが依然、規模の大小であったり、あるいは縦割りのタコつぼ発想にあるせいだろう。それではまちづくりという終わりのない事業を担っている無名の人たちの息遣いは聞こえてこない。二十一世紀の地域社会を再構築する新しい芽は読み取れないのである。

 二十年近くまちづくりをテーマにしてきた新聞記者の責任としていつか誤解を解きたいと思っていた。本書ではまちづくりは「地域」をフィールドにした未知の領域への挑戦だという主張を込めたつもりだが、意あれど力足らずでどこまでその思いが通じたのか、はなはだ心許無い。風向きが変わったとはいえ地域の自立を目指すまちづくりの道程は決して平坦ではない半面、本書で取り上げた各地の実践で明らかなように、たとえ遅々とした歩みであっても着実に前進しているのも事実である。

 最後になったが、多忙にもかかわらず度重なる取材に快く応じてくれた栄東、天神橋筋、丸亀町、飯田市、豊中市の皆さん。新聞の連載と同様、各章扉のイラストを引き受けてくれた井筒啓之さん。本書の出版を勧めてくれた学芸出版社編集担当取締役の前田裕資さん、校正で大変お世話になった編集部の井口夏実さんに改めてお礼申し上げたい。

  二〇〇〇年七月

脇本 祐一

学芸出版社
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