政策づくりの基本は、良質の情報を数多く集めることである。しかし、どれだけ情報を集めて政策を作っても、それだけで実効性がある政策ができるわけではない。自治体の政策でもNPOの政策でも、政策の強さは、どれだけ多くの市民が政策づくりに参加し、多くの市民の共感を得て政策が作られるかで決まってくる。
設問5 '92年の都市計画法の改正で、自治体では都市計画マスタープランを作ることになった。この制度は、まちづくりに市民が参加する画期的な制度であるので、できる限り、多くの市民に都市計画マスタープランづくりに参加してもらい、自分たちのまちの状況や、今後のあるべき姿を大いに議論してもらいたいと考えている。そこで、より多くの市民に情報を公開し、また多くの市民が参加できる、新たな市民参加手法がないのだろうか。
自治体を取り巻く状況は、依然として厳しい状況が続いている。行政改革と税収の落ち込みで、人も金も不足しているが、他方、市民ニーズは高度化・多様化し、仕事だけは増える状況が続いている。少ない人数で、効率的・効果的な政策づくりを工夫する必要がある。
設問6 あるプロジェクトを担当することになったが、庁内には、このテーマについて専門知識を持っていたり、実践活動を行っている人がいる。こうした人たちに、プロジェクトに参加してもらって、知恵を出してもらえば、よりよい政策をつくることができそうである。しかし、どのセクションも忙しいなかで、共同作業もままならない。こうした庁内の職員の知恵を結集させる方法がないのだろうか。
設問7 役所も含めて、日本では意思決定は、稟議によって行われる。しかし、従来の文書による稟議方式では、時間もかかるし、はんこを押すのも形式的になってしまっている。決定をスピードアップし、実質的なものとするために、これまでの文書による稟議方式に代わる、新たな意思決定方式が考えられないだろうか。
最近では、NPOも政策づくりの主体に位置付けられるようになった。しかしNPOは、自治体と比べても、その持てる権限や資源は十分ではなく、また多くのNPOは、資金、情報、場所、人のネットワークなどいくつかの課題も抱えている。
設問8 そこで、NPOが政策主体にふさわしい政策形成能力を高める具体的で実践的な手法がないのだろうか。
以上は、政策づくりのそれぞれの局面である。
設問1 から 設問4 までは政策づくりのための情報収集、設問5 は政策形成プロセスの公開及び市民参加である。設問6 設問7 は政策主体としての自治体の変革、設問8 は政策主体としてのNPOの政策形成能力を高める方法である。
結論からいえば、インターネットによれば、これらのことが簡単にできるようになる。インターネットは、自治体や市民・NPOの政策づくりを大きく変える可能性を秘めている。
以下では、これらの設問を意識しながら、インターネットによる政策づくりを考えてみよう。