農と食文化のあるまちづくり

書 評

『全国農業新聞』 2001.9.28
 このところの直売所の隆盛、市民農園の人気、ガーデニングやグリーンツーリズムのブームは、市民側からの都市農業への期待と需要の高さを物語っている。
 著者はこれを、都市農業の多面的機能に対する「市民圧」の拡大と言う。
 都市計画法にもとづく市街化区域と市街化調整区域の線引きが昭和四十四年から実施されたが、その後の高度経済成長期やバブル期を経て、多くの農地が市街化区域内に現存している。
 また、都市化の進行はもはや大都市圏のみの現象ではなく、地方都市にも広がっている。今後の農業を考える際、都市と農業・農村の関係をどう構築していくのかが重要な課題になっている。
 本書では、「都市農業の多面的機能である食料供給機能、国土・環境保全機能、アメニティー維持機能を積極的に活用したまちづくり」を「農と食文化のあるまちづくり」と定義している。
 前半は、都市農業の役割、都市農業活性化の方向と課題、都市農業の多面的機能と住民意向、公益的機能の活用と都市農地保全方策などを整理・検討し、後半で都市農業の多面的機能のうち、とくに市民農園、生涯学習、農業環境、農協の農住まちづくり事業などの事例を詳しく紹介している。





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