まちづくりブック 伊勢

はじめに




 世はまさに「まちづくりの時代」といってもよいでしょう。全国各地で、市民参加のまちづくりが盛大に繰り広げられています。伊勢でも昭和50年代から、内宮おはらい町や河崎で、市民を中心としたまちづくりがすすめられ、その成果は実際のまちの姿に投影されています。

 平成9年に策定された「伊勢市都市マスタープラン」づくりの過程は、伊勢における市民参加型まちづくりの第二幕目といってもよいでしょう。そこで取り入れられた「市民ワークショップ」という方法は、多くの市民をマスタープランづくりへと促し、まちを見て・歩いて・考えることの楽しさを教えてくれました。一方、伊勢市としても、市民と行政が協働してまちづくりにとりくむことの重要性を、強く認識するきっかけとなりました。

 その後、数多くの市民ワークショップが開かれ、いまや市民ワークショップは伊勢の「十八番」にさえなった感があります。

 このワークショップを通して培われたまちへの興味や関心を、豊かなまちづくりへと実らせていくためには、まちへの見識、まちづくりの知識というものが欠かせません。この「まちづくりブック 伊勢」は、これから参加のまちづくりを力強く押し進めていく市民のための本、としてつくられました。まちへの見方やまちづくりの基本的な考えを、これまでまちとは余りかかわりをもたなかった方にも、特に、近未来のまちづくりの担い手となる中学生高校生にも、理解してもらえるように工夫をしました。

 第1章「まちのみかた」では、まちの見方の例を紹介。見方によってさまざまな表情が見える、まちの面白さの一端に触れていただきたいと思います。第2章「まちのしくみ」では、まちはどのような要素によって構成されているのか。その要素はどんなルールや相互の関係をもっているのか。私たちの生活にどのような意味をもっているのかを考えてみます。

 第3章「まちのなりたち」は、古代から現代まで、伊勢のまちがどのようにつくり続けられてきたのかを紹介する、まちの歴史編。第4章「まちづくり物語」では、「まちづくり」とはなにかを、3人の人物とそのまちづくりの仕事を通して具体的に紹介します。

 第5章「これからのまちを描く」は、将来の伊勢のまちづくりに深くかかわる「都市マスタープラン」についての章です。まちを計画することの意味や方法、市民が計画づくりに参加することの意義などを考えてみます。

 それぞれの章は独立していますので、どの章から読み始めていただいても結構ですし、見開き2ページごとの読み切りになっていますので、広げたところから読んでいただいても、一向に構いません。

 伊勢のまちの奥深さに比べて、まだまだ書き足りないこと、触れられなかったことも多いのすが、伊勢のまちとまちづくりを学ぶ際の入門書として、活用していただければ幸いです。



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