まちづくり協議会読本


書  評


『造景』 2000.4

 住民が行政と協働型のまちづくりを行なう場合、まちづくり協議会がつくられる。最初、神戸に始まったこの方式は次第に定着し、全国各地で様々に試みられている。しかし、まちづくり協議会とはなにか、必ずしも明快な規定があるわけではない。
 本書はこれからまちづくり協議会をつくろうとする住民のために、コンサルとしてまちづくりに関わってきた著者たちが協議会の作り方から、運営法、さらに地域とのコミュニケーションや計画づくりまでわかりやすく解説したもの。
 今日、まちづくりにおいて次第に明瞭になっているのは、合意形成の主体と執行機関の関係である。まちづくりは、市民の合意の積み重ねによってしか前進しないし、執行する行政が地域政府として自立しなければならない。協議会方式は、そこに到る過渡的な手段として、今後、位置づけられることになるだろう。


『地域開発』 2000.3

 都市の成熟化に伴って、スクラップ・アンド・ビルド型の市街地改造は困難になってきている。むしろ、修復型のまちづくりが重要となってきた。その際には、地域住民の理解と参加が欠かせない。そのためには、まちづくりに興味と情熱のある住民が集まって、地域の住民の意見を反映しながらまちづくりについて議論し、計画し、実現していく方法が必要であり、そのための集まりが「まちづくり協議会」である。
 本書は、修復型のまちづくりを進めるまちづくり協議会の実践的手引書である。例えば、会費や会則はどうするのか、困った参加者の対策はどうするか、協議会の合意が即地区の合意となるのか、ニュースやアンケートの作り方、まちづくり計画の作り方、作成後の活動の進め方といった点について、数々の疑問に実例を交えて紹介している。地域活動をする上で、一読をお勧めしたい。


学芸出版社
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